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 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針

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人を対象とする医学系研究に関する倫理指針

取扱い業務の図示イメージ

(平成二十六年十二月二十二日) (/文部科学省/厚生労働省/告示第三号)
人を対象とする医学系研究に関する倫理指針を次のように定める。なお、疫学研究に関する倫理指針(平成十九年/文部科学省/厚生労働省/告示第一号)及び臨床研究に関する倫理指針(平成二十年厚生労働省告示第四百十五号)は、平成二十七年三月三十一日限り廃止する。

前文

人を対象とする医学系研究は、医学・健康科学及び医療技術の進展を通じて、国民の健康の保持増進並びに患者の傷病からの回復及び生活の質の向上に大きく貢献し、人類の健康及び福祉の発展に資する重要な基盤である。また、学問の自由の下に、研究者が適正かつ円滑に研究を行うことのできる制度的枠組みの構築が求められる。その一方で、人を対象とする医学系研究は、研究対象者の身体及び精神又は社会に対して大きな影響を与える場合もあり、様々な倫理的、法的又は社会的問題を招く可能性がある。研究対象者の福利は、科学的及び社会的な成果よりも優先されなければならず、また、人間の尊厳及び人権が守られなければならない。

このため文部科学省及び厚生労働省においては、研究者が人間の尊厳及び人権を守るとともに、適正かつ円滑に研究を行うことができるよう、日本国憲法、我が国における個人情報の保護に関する諸法令及び世界医師会によるヘルシンキ宣言等に示された倫理規範も踏まえ、平成14年に文部科学省及び厚生労働省で制定し平成19年に全部改正した疫学研究に関する倫理指針(平成19年文部科学省・厚生労働省告示第1号)及び平成15年に厚生労働省で制定し平成20年に全部改正した臨床研究に関する倫理指針(平成20年厚生労働省告示第415号)をそれぞれ定めてきた。しかしながら、近年、これらの指針の適用対象となる研究の多様化により、その目的・方法について共通するものが多くなってきているため、これらの指針の適用範囲が分かりにくいとの指摘等から、今般、これらの指針を統合した倫理指針を定めることとした。

この指針は、人を対象とする医学系研究の実施に当たり、全ての関係者が遵守すべき事項について定めたものである。また、研究機関の長は研究実施前に研究責任者が作成した研究計画書の適否を倫理審査委員会の意見を聴いて判断し、研究者等は研究機関の長の許可を受けた研究計画書に基づき研究を適正に実施することを求められる。この指針においては、人を対象とする医学系研究には多様な形態があることに配慮して、基本的な原則を示すにとどめている。研究者等、研究機関の長及び倫理審査委員会をはじめとする全ての関係者は高い倫理観を保持し、人を対象とする医学系研究が社会の理解及び信頼を得て社会的に有益なものとなるよう、これらの原則を踏まえつつ、適切に対応することが求められる。

人を対象とする医学系研究に関する倫理指針

第1章 総則

第1 目的及び基本方針

この指針は、人を対象とする医学系研究に携わる全ての関係者が遵守すべき事項を定めることにより、人間の尊厳及び人権が守られ、研究の適正な推進が図られるようにすることを目的とする。全ての関係者は、次に掲げる事項を基本方針としてこの指針を遵守し、研究を進めなければならない。

① 社会的及び学術的な意義を有する研究の実施

② 研究分野の特性に応じた科学的合理性の確保

③ 研究対象者への負担並びに予測されるリスク及び利益の総合的評価

④ 独立かつ公正な立場に立った倫理審査委員会による審査

⑤ 事前の十分な説明及び研究対象者の自由意思による同意

⑥ 社会的に弱い立場にある者への特別な配慮

⑦ 個人情報等の保護

⑧ 研究の質及び透明性の確保

第2 用語の定義

この指針における用語の定義は、次のとおりとする。

(1) 人を対象とする医学系研究
人(試料・情報を含む。)を対象として、傷病の成因(健康に関する様々な事象の頻度及び分布並びにそれらに影響を与える要因を含む。)及び病態の理解並びに傷病の予防方法並びに医療における診断方法及び治療方法の改善又は有効性の検証を通じて、国民の健康の保持増進又は患者の傷病からの回復若しくは生活の質の向上に資する知識を得ることを目的として実施される活動をいう。この指針において単に「研究」という場合、人を対象とする医学系研究のことをいう。

(2) 侵襲
研究目的で行われる、穿せん刺、切開、薬物投与、放射線照射、心的外傷に触れる質問等によって、研究対象者の身体又は精神に傷害又は負担が生じることをいう。
侵襲のうち、研究対象者の身体及び精神に生じる傷害及び負担が小さいものを「軽微な侵襲」という。

(3) 介入
研究目的で、人の健康に関する様々な事象に影響を与える要因(健康の保持増進につながる行動及び医療における傷病の予防、診断又は治療のための投薬、検査等を含む。)の有無又は程度を制御する行為(通常の診療を超える医療行為であって、研究目的で実施するものを含む。)をいう。

(4) 人体から取得された試料
血液、体液、組織、細胞、排泄せつ物及びこれらから抽出したDNA等、人の体の一部であって研究に用いられるもの(死者に係るものを含む。)をいう。

(5) 研究に用いられる情報
研究対象者の診断及び治療を通じて得られた傷病名、投薬内容、検査又は測定の結果等、人の健康に関する情報その他の情報であって研究に用いられるもの(死者に係るものを含む。)をいう。

(6) 試料・情報
人体から取得された試料及び研究に用いられる情報をいう。

(7) 既存試料・情報
試料・情報のうち、次に掲げるいずれかに該当するものをいう。

① 研究計画書が作成されるまでに既に存在する試料・情報

② 研究計画書の作成以降に取得された試料・情報であって、取得の時点においては当該研究計画書の研究に用いられることを目的としていなかったもの

(8) 研究対象者
次に掲げるいずれかに該当する者(死者を含む。)をいう。

① 研究を実施される者(研究を実施されることを求められた者を含む。)

② 研究に用いられることとなる既存試料・情報を取得された者

(9) 研究機関
研究を実施する法人、行政機関及び個人事業主をいい、試料・情報の保管、統計処理その他の研究に関する業務の一部についてのみ委託を受けて行う場合を除く。

(10) 共同研究機関
研究計画書に基づいて研究を共同して実施する研究機関をいい、当該研究のために研究対象者から新たに試料・情報を取得し、他の研究機関に提供を行う機関を含む。

(11) 試料・情報の収集・分譲を行う機関
研究機関のうち、試料・情報を研究対象者から取得し、又は他の機関から提供を受けて保管し、反復継続して他の研究機関に提供を行う業務を実施する機関をいう。

(12) 研究者等
研究責任者その他の研究の実施(試料・情報の収集・分譲を行う機関における業務の実施を含む。)に携わる関係者をいい、研究機関以外において既存試料・情報の提供のみを行う者及び委託を受けて研究に関する業務の一部に従事する者を除く。

(13) 研究責任者
研究の実施に携わるとともに、所属する研究機関において当該研究に係る業務を統括する者をいう。

(14) 研究機関の長
研究を実施する法人の代表者、行政機関の長又は個人事業主をいう。

(15) 倫理審査委員会
研究の実施又は継続の適否その他研究に関し必要な事項について、倫理的及び科学的な観点から調査審議するために設置された合議制の機関をいう。

(16) インフォームド・コンセント
研究対象者又はその代諾者等が、実施又は継続されようとする研究に関して、当該研究の目的及び意義並びに方法、研究対象者に生じる負担、予測される結果(リスク及び利益を含む。)等について十分な説明を受け、それらを理解した上で自由意思に基づいて研究者等又は既存試料・情報の提供を行う者に対し与える、当該研究(試料・情報の取扱いを含む。)を実施又は継続されることに関する同意をいう。

(17) 代諾者
生存する研究対象者の意思及び利益を代弁できると考えられる者であって、当該研究対象者がインフォームド・コンセントを与える能力を欠くと客観的に判断される場合に、当該研究対象者の代わりに、研究者等又は既存試料・情報の提供を行う者に対してインフォームド・コンセントを与えることができる者をいう。

(18) 代諾者等
代諾者に加えて、研究対象者が死者である場合にインフォームド・コンセントを与えることができる者を含めたものをいう。

(19) インフォームド・アセント
インフォームド・コンセントを与える能力を欠くと客観的に判断される研究対象者が、実施又は継続されようとする研究に関して、その理解力に応じた分かりやすい言葉で説明を受け、当該研究を実施又は継続されることを理解し、賛意を表することをいう。

(20) 個人情報
生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるものをいい、他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。

(21) 個人情報等
個人情報に加えて、個人に関する情報であって、死者について特定の個人を識別することができる情報を含めたものをいう。

(22) 匿名化
特定の個人(死者を含む。以下同じ。)を識別することができることとなる記述等の全部又は一部を取り除き、代わりに当該個人と関わりのない符号又は番号を付すことをいう。
なお、個人に関する情報のうち、それ自体では特定の個人を識別することができないものであっても、他で入手できる情報と照合することにより特定の個人を識別することができる場合には、照合に必要な情報の全部又は一部を取り除いて、特定の個人を識別することができないようにすることを含むものとする。

(23) 連結可能匿名化
必要な場合に特定の個人を識別することができるように、当該個人と新たに付された符号又は番号との対応表を残す方法による匿名化をいう。

(24) 連結不可能匿名化
特定の個人を識別することができないように、当該個人と新たに付された符号又は番号との対応表を残さない方法による匿名化をいう。

(25) 有害事象
実施された研究との因果関係の有無を問わず、研究対象者に生じた全ての好ましくない又は意図しない傷病若しくはその徴候(臨床検査値の異常を含む。)をいう。

(26) 重篤な有害事象
有害事象のうち、次に掲げるいずれかに該当するものをいう。

① 死に至るもの

② 生命を脅かすもの

③ 治療のための入院又は入院期間の延長が必要となるもの

④ 永続的又は顕著な障害・機能不全に陥るもの

⑤ 子孫に先天異常を来すもの

(27) 予測できない重篤な有害事象
重篤な有害事象のうち、研究計画書、インフォームド・コンセントの説明文書等において記載されていないもの又は記載されていてもその性質若しくは重症度が記載内容と一致しないものをいう。

(28) モニタリング
研究が適正に行われることを確保するため、研究がどの程度進捗しているか並びにこの指針及び研究計画書に従って行われているかについて、研究責任者が指定した者に行わせる調査をいう。

(29) 監査
研究結果の信頼性を確保するため、研究がこの指針及び研究計画書に従って行われたかについて、研究責任者が指定した者に行わせる調査をいう。

第3 適用範囲

1 適用される研究
 この指針は、我が国の研究機関により実施され、又は日本国内において実施される人を対象とする医学系研究を対象とする。ただし、他の指針の適用範囲に含まれる研究にあっては、当該指針に規定されていない事項についてはこの指針の規定により行うものとする。 また、次に掲げるいずれかに該当する研究は、この指針の対象としない。

ア 法令の規定により実施される研究

イ 法令の定める基準の適用範囲に含まれる研究

ウ 試料・情報のうち、次に掲げるもののみを用いる研究

① 既に学術的な価値が定まり、研究用として広く利用され、かつ、一般に入手可能な試料・情報

② 既に連結不可能匿名化されている情報

2 日本国外において実施される研究

(1) 我が国の研究機関が日本国外において研究を実施する場合(海外の研究機関と共同して研究を実施する場合を含む。)は、この指針に従うとともに、実施地の法令、指針等の基準を遵守しなければならない。ただし、この指針の規定と比較して実施地の法令、指針等の基準の規定が厳格な場合には、この指針の規定に代えて当該実施地の法令、指針等の基準の規定により研究を実施するものとする。

(2) この指針の規定が日本国外の実施地における法令、指針等の基準の規定より厳格であり、この指針の規定により研究を実施することが困難な場合であって、次に掲げる事項が研究計画書に記載され、当該研究の実施について倫理審査委員会の意見を聴いて我が国の研究機関の長が許可したときには、この指針の規定に代えて当該実施地の法令、指針等の基準の規定により研究を実施することができるものとする。

① インフォームド・コンセントについて適切な措置が講じられる旨

② 研究の実施に伴って取得される個人情報等の保護について適切な措置が講じられる旨

第2章 研究者等の責務等

第4 研究者等の基本的責務

1 研究対象者等への配慮

(1) 研究者等は、研究対象者の生命、健康及び人権を尊重して、研究を実施しなければならない。

(2) 研究者等は、研究を実施するに当たっては、原則としてあらかじめインフォームド・コンセントを受けなければならない。

(3) 研究者等は、研究対象者又はその代諾者等(以下「研究対象者等」という。)及びその関係者からの相談、問合せ、苦情等(以下「相談等」という。)に適切かつ迅速に対応しなければならない。

(4) 研究者等は、研究の実施に携わる上で知り得た情報を正当な理由なく漏らしてはならない。研究の実施に携わらなくなった後も、同様とする。

(5) 研究者等は、研究に関連する情報の漏えい等、研究対象者等の人権を尊重する観点又は研究の実施上の観点から重大な懸念が生じた場合には、速やかに研究機関の長及び研究責任者に報告しなければならない。

2 研究の倫理的妥当性及び科学的合理性の確保等

(1) 研究者等は、法令、指針等を遵守し、倫理審査委員会の審査及び研究機関の長の許可を受けた研究計画書に従って、適正に研究を実施しなければならない。

(2) 研究者等は、研究の倫理的妥当性若しくは科学的合理性を損なう事実若しくは情報又は損なうおそれのある情報を得た場合((3)に該当する場合を除く。)には、速やかに研究責任者に報告しなければならない。

(3) 研究者等は、研究の実施の適正性若しくは研究結果の信頼を損なう事実若しくは情報又は損なうおそれのある情報を得た場合には、速やかに研究責任者又は研究機関の長に報告しなければならない。

3 教育・研修
研究者等は、研究の実施に先立ち、研究に関する倫理並びに当該研究の実施に必要な知識及び技術に関する教育・研修を受けなければならない。また、研究期間中も適宜継続して、教育・研修を受けなければならない。

第5 研究責任者の責務

1 研究計画書の作成及び研究者等に対する遵守徹底

(1) 研究責任者は、研究の実施に先立ち、適切な研究計画書を作成しなければならない。研究計画書を変更するときも同様とする。

(2) 研究責任者は、研究の倫理的妥当性及び科学的合理性が確保されるよう、研究計画書を作成しなければならない。また、研究計画書の作成に当たって、研究対象者への負担並びに予測されるリスク及び利益を総合的に評価するとともに、負担及びリスクを最小化する対策を講じなければならない。

(3) 研究責任者は、侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって通常の診療を超える医療行為を伴うものを実施しようとする場合には、当該研究に関連して研究対象者に生じた健康被害に対する補償を行うために、あらかじめ、保険への加入その他の必要な措置を適切に講じなければならない。

(4) 研究責任者は、第9の規定により、研究の概要その他の研究に関する情報を適切に登録するとともに、研究の結果については、これを公表しなければならない。

(5) 研究責任者は、研究計画書に従って研究が適正に実施され、その結果の信頼性が確保されるよう、当該研究の実施に携わる研究者をはじめとする関係者を指導・管理しなければならない。

2 研究の進捗状況の管理・監督及び有害事象等の把握・報告

(1) 研究責任者は、研究の実施に係る必要な情報を収集するなど、研究の適正な実施及び研究結果の信頼性の確保に努めなければならない。

(2) 研究責任者は、研究の倫理的妥当性若しくは科学的合理性を損なう事実若しくは情報又は損なうおそれのある情報であって研究の継続に影響を与えると考えられるものを得た場合((3)に該当する場合を除く。)には、遅滞なく、研究機関の長に対して報告し、必要に応じて、研究を停止し、若しくは中止し、又は研究計画書を変更しなければならない。

(3) 研究責任者は、研究の実施の適正性若しくは研究結果の信頼を損なう事実若しくは情報又は損なうおそれのある情報を得た場合には、速やかに研究機関の長に報告し、必要に応じて、研究を停止し、若しくは中止し、又は研究計画書を変更しなければならない。

(4) 研究責任者は、研究の実施において、当該研究により期待される利益よりも予測されるリスクが高いと判断される場合又は当該研究により十分な成果が得られた若しくは十分な成果が得られないと判断される場合には、当該研究を中止しなければならない。

(5) 研究責任者は、侵襲を伴う研究の実施において重篤な有害事象の発生を知った場合には、速やかに、必要な措置を講じなければならない。

(6) 研究責任者は、研究計画書に定めるところにより、研究の進捗状況及び研究の実施に伴う有害事象の発生状況を研究機関の長に報告しなければならない。

(7) 研究責任者は、研究を終了(中止の場合を含む。以下同じ。)したときは、研究機関の長に必要な事項について報告しなければならない。

(8) 研究責任者は、他の研究機関と共同で研究を実施する場合には、共同研究機関の研究責任者に対し、当該研究に関連する必要な情報を共有しなければならない。

3 研究実施後の研究対象者への対応
研究責任者は、通常の診療を超える医療行為を伴う研究を実施した場合には、当該研究実施後においても、研究対象者が当該研究の結果により得られた最善の予防、診断及び治療を受けることができるよう努めなければならない。

第6 研究機関の長の責務

1 研究に対する総括的な監督

(1) 研究機関の長は、実施を許可した研究について、適正に実施されるよう必要な監督を行うとともに、最終的な責任を負うものとする。

(2) 研究機関の長は、研究の実施に携わる関係者に、研究対象者の生命、健康及び人権を尊重して研究を実施することを周知徹底しなければならない。

(3) 研究機関の長は、その業務上知り得た情報を正当な理由なく漏らしてはならない。その業務に従事しなくなった後も、同様とする。

(4) 研究機関の長は、研究に関する業務の一部を委託する場合には、委託を受けた者が遵守すべき事項について、文書による契約を締結するとともに、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。

2 研究の実施のための体制・規程の整備等

(1) 研究機関の長は、研究を適正に実施するために必要な体制・規程を整備しなければならない。

(2) 研究機関の長は、当該研究機関の実施する研究に関連して研究対象者に健康被害が生じた場合、これに対する補償その他の必要な措置が適切に講じられることを確保しなければならない。

(3) 研究機関の長は、研究結果等、研究に関する情報が適切に公表されることを確保しなければならない。

(4) 研究機関の長は、当該研究機関における研究がこの指針に適合していることについて、必要に応じ、自ら点検及び評価を行い、その結果に基づき適切な対応をとらなければならない。

(5) 研究機関の長は、研究に関する倫理並びに研究の実施に必要な知識及び技術に関する教育・研修を当該研究機関の研究者等が受けることを確保するための措置を講じなければならない。また、自らもこれらの教育・研修を受けなければならない。

(6) 研究機関の長は、当該研究機関において定められた規程により、この指針に定める権限又は事務を当該研究機関内の適当な者に委任することができる。

3 研究の許可等

(1) 研究機関の長は、研究責任者から研究の実施又は研究計画書の変更の許可を求められたときは、倫理審査委員会に意見を求め、その意見を尊重し、当該許可又は不許可その他研究に関し必要な措置について決定しなければならない。

(2) 研究機関の長は、研究責任者をはじめとする研究者等から研究の継続に影響を与えると考えられる事実又は情報について報告を受けた場合には、必要に応じて倫理審査委員会に意見を求め、その意見を尊重するとともに、必要に応じて速やかに、研究の停止、原因の究明等、適切な対応をとらなければならない。

(3) 研究機関の長は、倫理審査委員会が行う調査に協力しなければならない。

(4) 研究機関の長は、研究の実施の適正性若しくは研究結果の信頼を損なう事実若しくは情報又は損なうおそれのある情報について報告を受けた場合には、速やかに必要な措置を講じなければならない。

(5) 研究機関の長は、研究責任者から研究の終了について報告を受けたときは、当該研究に関する審査を行った倫理審査委員会に必要な事項について報告しなければならない。

4 大臣への報告等

(1) 研究機関の長は、当該研究機関が実施している又は過去に実施した研究について、この指針に適合していないことを知った場合には、速やかに倫理審査委員会の意見を聴き、必要な対応を行うとともに、不適合の程度が重大であるときは、その対応の状況・結果を厚生労働大臣(大学等にあっては厚生労働大臣及び文部科学大臣。以下単に「大臣」という。)に報告し、公表しなければならない。

(2) 研究機関の長は、当該研究機関における研究がこの指針に適合していることについて、大臣又はその委託を受けた者(以下「大臣等」という。)が実施する調査に協力しなければならない。

(3) 研究機関の長は、侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものの実施において、予測できない重篤な有害事象が発生した場合であって当該研究との直接の因果関係が否定できないときは、3(2)の対応の状況・結果を速やかに厚生労働大臣に報告し、公表しなければならない。

第3章 研究計画書

第7 研究計画書に関する手続

1 研究計画書の作成・変更

(1) 研究責任者は、研究を実施(研究計画書を変更して実施する場合を含む。以下同じ。)しようとするときは、あらかじめ研究計画書を作成し、研究機関の長の許可を受けなければならない。

(2) 研究責任者は、他の研究機関と共同して研究を実施しようとする場合には、各共同研究機関の研究責任者の役割及び責任を明確にした上で研究計画書を作成しなければならない。

(3) 研究責任者は、当該研究責任者の所属する研究機関における研究に関する業務の一部について委託しようとする場合には、当該委託業務の内容を定めた上で研究計画書を作成しなければならない。

2 倫理審査委員会への付議

(1) 研究機関の長は、研究責任者から、当該研究機関における研究の実施の許可を求められたときは、当該研究の実施の適否について、倫理審査委員会の意見を聴かなければならない。ただし、研究機関の長は、公衆衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため緊急に研究を実施する必要があると判断する場合には、倫理審査委員会の意見を聴く前に許可を決定することができる。この場合において、研究機関の長は、許可後遅滞なく倫理審査委員会の意見を聴くものとし、倫理審査委員会が研究の停止若しくは中止又は研究計画書の変更をすべきである旨の意見を述べたときは、当該意見を尊重し、研究責任者に対し、研究を停止させ、若しくは中止させ、又は研究計画書を変更させるなど適切な対応をとらなければならない。

(2) 研究機関の長は、他の研究機関と共同して実施する研究について倫理審査委員会の意見を聴く場合には、共同研究機関における研究の実施の許可、他の倫理審査委員会における審査結果及び当該研究の進捗に関する状況等の審査に必要な情報についても倫理審査委員会へ提供しなければならない。

(3) 研究機関の長は、他の研究機関と共同して実施する研究に係る研究計画書について、一つの倫理審査委員会による一括した審査を求めることができる。

3 研究機関の長による許可
研究機関の長は、倫理審査委員会の意見を尊重し、研究の実施の許可又は不許可その他研究について必要な措置を決定しなければならない。この場合において、研究機関の長は、倫理審査委員会が研究の実施について不適当である旨の意見を述べたときには、当該研究の実施を許可してはならない。

4 研究終了後の対応

(1) 研究責任者は、研究を終了したときは、その旨及び研究の結果概要を文書により遅滞なく研究機関の長に報告しなければならない。

(2) 研究機関の長は、研究責任者から(1)の規定による報告を受けたときは、当該研究に関する審査を行った倫理審査委員会に、研究終了の旨及び研究の結果概要を文書により報告しなければならない。

第8 研究計画書の記載事項

(1) 研究計画書((2)の場合を除く。)に記載すべき事項は、原則として以下のとおりとする。ただし、倫理審査委員会の意見を受けて研究機関の長が許可した事項については、この限りでない。

① 研究の名称

② 研究の実施体制(研究機関の名称及び研究者等の氏名を含む。)

③ 研究の目的及び意義

④ 研究の方法及び期間

⑤ 研究対象者の選定方針

⑥ 研究の科学的合理性の根拠

⑦ 第12の規定によるインフォームド・コンセントを受ける手続等(インフォームド・コンセントを受ける場合には、同規定による説明及び同意に関する事項を含む。)

⑧ 個人情報等の取扱い(匿名化する場合にはその方法を含む。)

⑨ 研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益、これらの総合的評価並びに当該負担及びリスクを最小化する対策

⑩ 試料・情報(研究に用いられる情報に係る資料を含む。)の保管及び廃棄の方法

⑪ 研究機関の長への報告内容及び方法

⑫ 研究の資金源等、研究機関の研究に係る利益相反及び個人の収益等、研究者等の研究に係る利益相反に関する状況

⑬ 研究に関する情報公開の方法

⑭ 研究対象者等及びその関係者からの相談等への対応

⑮ 代諾者等からインフォームド・コンセントを受ける場合には、第13の規定による手続(第12及び第13の規定による代諾者等の選定方針並びに説明及び同意に関する事項を含む。)

⑯ インフォームド・アセントを得る場合には、第13の規定による手続(説明に関する事項を含む。)

⑰ 第12の5の規定による研究を実施しようとする場合には、同規定に掲げる要件の全てを満たしていることについて判断する方法

⑱ 研究対象者等に経済的負担又は謝礼がある場合には、その旨及びその内容

⑲ 侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究の場合には、重篤な有害事象が発生した際の対応

⑳ 侵襲を伴う研究の場合には、当該研究によって生じた健康被害に対する補償の有無及びその内容

((21)) 通常の診療を超える医療行為を伴う研究の場合には、研究対象者への研究実施後における医療の提供に関する対応

((22)) 研究の実施に伴い、研究対象者の健康、子孫に受け継がれ得る遺伝的特徴等に関する重要な知見が得られる可能性がある場合には、研究対象者に係る研究結果(偶発的所見を含む。)の取扱い

((23)) 研究に関する業務の一部を委託する場合には、当該業務内容及び委託先の監督方法

((24)) 研究対象者から取得された試料・情報について、研究対象者等から同意を受ける時点では特定されない将来の研究のために用いられる可能性又は他の研究機関に提供する可能性がある場合には、その旨と同意を受ける時点において想定される内容

((25)) 第20の規定によるモニタリング及び監査を実施する場合には、その実施体制及び実施手順

(2) 試料・情報を研究対象者から取得し、又は他の機関から提供を受けて保管し、反復継続して他の研究機関に提供を行う業務(以下「収集・分譲」という。)を実施する場合の研究計画書に記載すべき事項は、原則として以下のとおりとする。ただし、倫理審査委員会の意見を受けて研究機関の長が許可した事項については、この限りでない。

① 試料・情報の収集・分譲の実施体制(試料・情報の収集・分譲を行う機関の名称及び研究者等の氏名を含む。)

② 試料・情報の収集・分譲の目的及び意義

③ 試料・情報の収集・分譲の方法及び期間

④ 収集・分譲を行う試料・情報の種類

⑤ 第12の規定によるインフォームド・コンセントを受ける手続等(インフォームド・コンセントを受ける場合には、同規定による説明及び同意に関する事項を含む。)

⑥ 個人情報等の取扱い(匿名化する場合にはその方法を含む。)

⑦ 研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益、これらの総合的評価並びに当該負担及びリスクを最小化する対策

⑧ 試料・情報の保管及び品質管理の方法

⑨ 収集・分譲終了後の試料・情報の取扱い

⑩ 試料・情報の収集・分譲の資金源等、試料・情報の収集・分譲を行う機関の収集・分譲に係る利益相反及び個人の収益等、研究者等の収集・分譲に係る利益相反に関する状況

⑪ 研究対象者等及びその関係者からの相談等への対応

⑫ 研究対象者等に経済的負担又は謝礼がある場合には、その旨及びその内容

⑬ 研究の実施に伴い、研究対象者の健康、子孫に受け継がれ得る遺伝的特徴等に関する重要な知見が得られる可能性がある場合には、研究対象者に係る研究結果(偶発的所見を含む。)の取扱い

⑭ 研究対象者から取得された試料・情報について、研究対象者等から同意を受ける時点では特定されない将来の研究のために他の研究機関に提供する可能性がある場合には、その旨と同意を受ける時点において想定される内容

第9 研究に関する登録・公表

1 研究の概要及び結果の登録
研究責任者は、介入を行う研究について、国立大学附属病院長会議、一般財団法人日本医薬情報センター又は公益社団法人日本医師会が設置している公開データベースに、当該研究の概要をその実施に先立って登録し、研究計画書の変更及び研究の進捗に応じて適宜更新しなければならず、また、研究を終了したときは、遅滞なく、当該研究の結果を登録しなければならない。ただし、研究対象者等及びその関係者の人権又は研究者等及びその関係者の権利利益の保護のため非公開とすることが必要な内容として、倫理審査委員会の意見を受けて研究機関の長が許可したものについては、この限りでない。

2 研究結果の公表 研究責任者は、研究を終了したときは、遅滞なく、研究対象者等及びその関係者の人権又は研究者等及びその関係者の権利利益の保護のために必要な措置を講じた上で、当該研究の結果を公表しなければならない。また、侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものについて、結果の最終の公表を行ったときは、遅滞なく研究機関の長へ報告しなければならない。

第4章 倫理審査委員会

第10 倫理審査委員会の設置等

1 倫理審査委員会の設置の要件
倫理審査委員会の設置者は、次に掲げる要件を満たしていなければならない。

① 審査に関する事務を的確に行う能力があること。

② 倫理審査委員会を継続的に運営する能力があること。

③ 倫理審査委員会を中立的かつ公正に運営する能力があること。

2 倫理審査委員会の設置者の責務

(1) 倫理審査委員会の設置者は、当該倫理審査委員会の組織及び運営に関する規程を定め、当該規程により、倫理審査委員会の委員及びその事務に従事する者に業務を行わせなければならない。

(2) 倫理審査委員会の設置者は、当該倫理審査委員会が審査を行った研究に関する審査資料を当該研究の終了について報告される日までの期間(侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものに関する審査資料にあっては、当該研究の終了について報告された日から5年を経過した日までの期間)、適切に保管しなければならない。

(3) 倫理審査委員会の設置者は、当該倫理審査委員会の運営を開始するに当たって、倫理審査委員会の組織及び運営に関する規程並びに委員名簿を倫理審査委員会報告システムにおいて公表しなければならない。
また、倫理審査委員会の設置者は、年1回以上、当該倫理審査委員会の開催状況及び審査の概要について、倫理審査委員会報告システムにおいて公表しなければならない。ただし、審査の概要のうち、研究対象者等及びその関係者の人権又は研究者等及びその関係者の権利利益の保護のため非公開とすることが必要な内容として倫理審査委員会が判断したものについては、この限りでない。

(4) 倫理審査委員会の設置者は、当該倫理審査委員会の委員及びその事務に従事する者が審査及び関連する業務に関する教育・研修を受けることを確保するため必要な措置を講じなければならない。

(5) 倫理審査委員会の設置者は、当該倫理審査委員会の組織及び運営がこの指針に適合していることについて、大臣等が実施する調査に協力しなければならない。

第11 倫理審査委員会の役割・責務等

1 役割・責務

(1) 倫理審査委員会は、研究機関の長から研究の実施の適否等について意見を求められたときは、この指針に基づき、倫理的観点及び科学的観点から、研究機関及び研究者等の利益相反に関する情報も含めて中立的かつ公正に審査を行い、文書により意見を述べなければならない。

(2) 倫理審査委員会は、(1)の規定により審査を行った研究について、倫理的観点及び科学的観点から必要な調査を行い、研究機関の長に対して、研究計画書の変更、研究の中止その他当該研究に関し必要な意見を述べることができる。

(3) 倫理審査委員会は、(1)の規定により審査を行った研究のうち、侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものについて、当該研究の実施の適正性及び研究結果の信頼性を確保するために必要な調査を行い、研究機関の長に対して、研究計画書の変更、研究の中止その他当該研究に関し必要な意見を述べることができる。

(4) 倫理審査委員会の委員及びその事務に従事する者は、その業務上知り得た情報を正当な理由なく漏らしてはならない。その業務に従事しなくなった後も同様とする。

(5) 倫理審査委員会の委員及びその事務に従事する者は、(1)の規定により審査を行った研究に関連する情報の漏えい等、研究対象者等の人権を尊重する観点並びに当該研究の実施上の観点及び審査の中立性若しくは公正性の観点から重大な懸念が生じた場合には、速やかに倫理審査委員会の設置者に報告しなければならない。

(6) 倫理審査委員会の委員及びその事務に従事する者は、審査及び関連する業務に先立ち、倫理的観点及び科学的観点からの審査等に必要な知識を習得するための教育・研修を受けなければならない。また、その後も、適宜継続して教育・研修を受けなければならない。

2 構成及び会議の成立要件等

(1) 倫理審査委員会の構成は、研究計画書の審査等の業務を適切に実施できるよう、次に掲げる要件の全てを満たさなければならず、①から③までに掲げる者については、それぞれ他を同時に兼ねることはできない。会議の成立についても同様の要件とする。

① 医学・医療の専門家等、自然科学の有識者が含まれていること。

② 倫理学・法律学の専門家等、人文・社会科学の有識者が含まれていること。

③ 研究対象者の観点も含めて一般の立場から意見を述べることのできる者が含まれていること。

④ 倫理審査委員会の設置者の所属機関に所属しない者が複数含まれていること。

⑤ 男女両性で構成されていること。

⑥ 5名以上であること。

(2) 審査の対象となる研究の実施に携わる研究者等は、倫理審査委員会の審議及び意見の決定に同席してはならない。ただし、当該倫理審査委員会の求めに応じて、その会議に出席し、当該研究に関する説明を行うことはできる。

(3) 審査を依頼した研究機関の長は、倫理審査委員会の審議及び意見の決定に参加してはならない。ただし、倫理審査委員会における当該審査の内容を把握するために必要な場合には、当該倫理審査委員会の同意を得た上で、その会議に同席することができる。

(4) 倫理審査委員会は、審査の対象、内容等に応じて有識者に意見を求めることができる。

(5) 倫理審査委員会は、特別な配慮を必要とする者を研究対象者とする研究計画書の審査を行い、意見を述べる際は、必要に応じてこれらの者について識見を有する者に意見を求めなければならない。

(6) 倫理審査委員会の意見は、全会一致をもって決定するよう努めなければならない。

3 迅速審査
倫理審査委員会は、次に掲げるいずれかに該当する審査について、当該倫理審査委員会が指名する委員による審査(以下「迅速審査」という。)を行い、意見を述べることができる。迅速審査の結果は倫理審査委員会の意見として取り扱うものとし、当該審査結果は全ての委員に報告されなければならない。

① 他の研究機関と共同して実施される研究であって、既に当該研究の全体について共同研究機関において倫理審査委員会の審査を受け、その実施について適当である旨の意見を得ている場合の審査

② 研究計画書の軽微な変更に関する審査

③ 侵襲を伴わない研究であって介入を行わないものに関する審査

④ 軽微な侵襲を伴う研究であって介入を行わないものに関する審査

4 他の研究機関が実施する研究に関する審査

(1) 研究機関の長が、自らの研究機関以外に設置された倫理審査委員会に審査を依頼する場合には、当該倫理審査委員会は、研究の実施体制について十分把握した上で審査を行い、意見を述べなければならない。

(2) 倫理審査委員会は、他の研究機関が実施する研究について審査を行った後、継続して当該研究機関の長から当該研究に関する審査を依頼された場合には、審査を行い、意見を述べなければならない。

第5章 インフォームド・コンセント等

第12 インフォームド・コンセントを受ける手続等

1 インフォームド・コンセントを受ける手続等
研究者等が研究を実施しようとするとき、又は既存試料・情報の提供を行う者が既存試料・情報を提供しようとするときは、研究機関の長の許可を受けた研究計画書に定めるところにより、それぞれ次に掲げる手続に従って、原則としてあらかじめインフォームド・コンセントを受けなければならない。ただし、法令の規定による既存試料・情報の提供については、この限りでない。

(1) 新たに試料・情報を取得して研究を実施しようとする場合のインフォームド・コンセント

ア 侵襲を伴う研究
研究者等は、3の規定による説明事項を記載した文書により、インフォームド・コンセントを受けなければならない。

イ 侵襲を伴わない研究

(ア) 介入を行う研究
研究者等は、必ずしも文書によりインフォームド・コンセントを受けることを要しないが、文書によりインフォームド・コンセントを受けない場合には、3の規定による説明事項について口頭によりインフォームド・コンセントを受け、説明の方法及び内容並びに受けた同意の内容に関する記録を作成しなければならない。

(イ) 介入を行わない研究

① 人体から取得された試料を用いる研究
研究者等は、必ずしも文書によりインフォームド・コンセントを受けることを要しないが、文書によりインフォームド・コンセントを受けない場合には、3の規定による説明事項について口頭によりインフォームド・コンセントを受け、説明の方法及び内容並びに受けた同意の内容に関する記録を作成しなければならない。

② 人体から取得された試料を用いない研究
研究者等は、必ずしもインフォームド・コンセントを受けることを要しないが、インフォームド・コンセントを受けない場合には、研究に用いられる情報の利用目的を含む当該研究についての情報を研究対象者等に通知し、又は公開し、研究が実施又は継続されることについて、研究対象者等が拒否できる機会を保障しなければならない。

(2) 自らの研究機関において保有している既存試料・情報を用いて研究を実施しようとする場合のインフォームド・コンセント

ア 人体から取得された試料を用いる研究
研究者等は、必ずしも文書によりインフォームド・コンセントを受けることを要しないが、文書によりインフォームド・コンセントを受けない場合には、3の規定による説明事項について口頭によりインフォームド・コンセントを受け、説明の方法及び内容並びに受けた同意の内容に関する記録を作成しなければならない。ただし、これらの手続を行うことが困難な場合であって次に掲げるいずれかに該当するときには、当該手続を行うことなく、自らの研究機関において保有している既存試料・情報を利用することができる。

(ア) 人体から取得された試料が匿名化(連結不可能匿名化又は連結可能匿名化であって当該研究機関が対応表を保有しない場合に限る。)されていること。

(イ) 人体から取得された試料が(ア)に該当しない場合であって、その取得時に当該研究における利用が明示されていない別の研究についての同意のみが与えられているときには、次に掲げる要件を満たしていること。

① 当該研究の実施について人体から取得された試料の利用目的を含む情報を研究対象者等に通知し、又は公開していること。

② その同意が当該研究の目的と相当の関連性があると合理的に認められること。

(ウ) 人体から取得された試料が(ア)及び(イ)のいずれにも該当しない場合において、次に掲げる要件の全てを満たしていること。

① 当該研究の実施について人体から取得された試料の利用目的を含む情報を研究対象者等に通知し、又は公開していること。

② 研究が実施されることについて、研究対象者等が拒否できる機会を保障すること。

③ 公衆衛生の向上のために特に必要がある場合であって、研究対象者等の同意を受けることが困難であること。

イ 人体から取得された試料を用いない研究
研究者等は、必ずしもインフォームド・コンセントを受けることを要しないが、インフォームド・コンセントを受けない場合には、研究に用いられる情報が匿名化(連結不可能匿名化又は連結可能匿名化であって当該研究機関が対応表を保有しない場合に限る。)されている場合を除き、利用目的を含む当該研究についての情報を研究対象者等に通知し、又は公開し、研究が実施されることについて、研究対象者等が拒否できる機会を保障しなければならない。

(3) 他の研究機関に既存試料・情報を提供しようとする場合のインフォームド・コンセント
他の研究機関に対して既存試料・情報の提供を行う者は、必ずしも文書によりインフォームド・コンセントを受けることを要しないが、文書によりインフォームド・コンセントを受けない場合には、3の規定による説明事項(既存試料・情報を提供する旨を含む。)について口頭によりインフォームド・コンセントを受け、説明の方法及び内容並びに受けた同意の内容に関する記録を作成しなければならない。ただし、これらの手続を行うことが困難な場合であって次に掲げるいずれかに該当するときは、当該手続を行うことなく、既存試料・情報を提供することができる。
なお、既存試料・情報の提供(イ及びウの場合を除く。)については、既存試料・情報の提供を行う者が所属する機関(以下「既存試料・情報の提供を行う機関」という。)の長がその内容を把握できるようにしておかなければならない。

ア 既存試料・情報が匿名化(連結不可能匿名化又は連結可能匿名化であって対応表を提供しない場合に限る。)されていること。

イ 既存試料・情報がアに該当しない場合において、次に掲げる要件を満たしていることについて、倫理審査委員会の意見を聴いた上で、既存試料・情報の提供を行う機関の長の許可を得ていること。

(ア) 当該研究の実施及び既存試料・情報の提供について、次に掲げる情報をあらかじめ研究対象者等に通知し、又は公開していること。

① 既存試料・情報の提供を行う機関外の者への提供を利用目的とする旨

② 既存試料・情報の提供を行う機関外の者に提供される個人情報等の項目

③ 既存試料・情報の提供を行う機関外の者への提供の手段又は方法

④ 研究対象者又はその代理人の求めに応じて、当該研究対象者を識別することができる個人情報等について、既存試料・情報の提供を行う機関外の者への提供を停止する旨

(イ) 研究が実施されることについて研究対象者等が拒否できる機会を保障すること。

ウ 社会的に重要性の高い研究に用いられる情報が提供される場合であって、当該研究の方法及び内容、研究に用いられる情報の内容その他の理由によりア及びイによることができないときには、必要な範囲で他の適切な措置を講じることについて、倫理審査委員会の意見を聴いた上で、既存試料・情報の提供を行う機関の長の許可を得ていること。なお、この場合において、6(1)の①から④までに掲げる要件の全てに該当していなければならない。また、6(2)①から③までに掲げるもののうち適切な措置を講じなければならない。

(4) (3)の手続に基づく既存試料・情報の提供を受けて研究を実施しようとする場合のインフォームド・コンセント
研究者等は、必ずしもインフォームド・コンセントを受けることを要しないが、インフォームド・コンセントを受けない場合には、当該研究に用いることについて、既存試料・情報の提供を行う者によって(3)の手続がとられていること及び研究対象者等から受けた同意の内容等を確認しなければならない(法令の規定により提供を受ける場合を除く。)。
また、匿名化されていない既存試料・情報を用いる場合(研究者等がインフォームド・コンセントを受ける場合を除く。)には、既存試料・情報の取扱いを含む当該研究の実施についての情報を公開し、研究が実施されることについて、研究対象者等が同意を撤回できる機会を保障しなければならない。

2 研究計画書の変更
研究者等は、研究計画書を変更して研究を実施しようとする場合には、変更箇所について、原則として改めて1の規定によるインフォームド・コンセントの手続等を行わなければならない。ただし、倫理審査委員会の意見を受けて研究機関の長が許可した変更箇所については、この限りでない。

3 説明事項
インフォームド・コンセントを受ける際に研究対象者等に対し説明すべき事項は、原則として以下のとおりとする。ただし、倫理審査委員会の意見を受けて研究機関の長が許可した事項については、この限りでない。

① 研究の名称及び当該研究の実施について研究機関の長の許可を受けている旨

② 研究機関の名称及び研究責任者の氏名(他の研究機関と共同して研究を実施する場合には、共同研究機関の名称及び共同研究機関の研究責任者の氏名を含む。)

③ 研究の目的及び意義

④ 研究の方法(研究対象者から取得された試料・情報の利用目的を含む。)及び期間

⑤ 研究対象者として選定された理由

⑥ 研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益

⑦ 研究が実施又は継続されることに同意した場合であっても随時これを撤回できる旨(研究対象者等からの撤回の内容に従った措置を講じることが困難となる場合があるときは、その旨及びその理由)

⑧ 研究が実施又は継続されることに同意しないこと又は同意を撤回することによって研究対象者等が不利益な取扱いを受けない旨

⑨ 研究に関する情報公開の方法

⑩ 研究対象者等の求めに応じて、他の研究対象者等の個人情報等の保護及び当該研究の独創性の確保に支障がない範囲内で研究計画書及び研究の方法に関する資料を入手又は閲覧できる旨並びにその入手又は閲覧の方法

⑪ 個人情報等の取扱い(匿名化する場合にはその方法を含む。)

⑫ 試料・情報の保管及び廃棄の方法

⑬ 研究の資金源等、研究機関の研究に係る利益相反及び個人の収益等、研究者等の研究に係る利益相反に関する状況

⑭ 研究対象者等及びその関係者からの相談等への対応

⑮ 研究対象者等に経済的負担又は謝礼がある場合には、その旨及びその内容

⑯ 通常の診療を超える医療行為を伴う研究の場合には、他の治療方法等に関する事項

⑰ 通常の診療を超える医療行為を伴う研究の場合には、研究対象者への研究実施後における医療の提供に関する対応

⑱ 研究の実施に伴い、研究対象者の健康、子孫に受け継がれ得る遺伝的特徴等に関する重要な知見が得られる可能性がある場合には、研究対象者に係る研究結果(偶発的所見を含む。)の取扱い

⑲ 侵襲を伴う研究の場合には、当該研究によって生じた健康被害に対する補償の有無及びその内容

⑳ 研究対象者から取得された試料・情報について、研究対象者等から同意を受ける時点では特定されない将来の研究のために用いられる可能性又は他の研究機関に提供する可能性がある場合には、その旨と同意を受ける時点において想定される内容

((21)) 侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものの場合には、研究対象者の秘密が保全されることを前提として、モニタリングに従事する者及び監査に従事する者並びに倫理審査委員会が、必要な範囲内において当該研究対象者に関する試料・情報を閲覧する旨

4 同意を受ける時点で特定されなかった研究への試料・情報の利用の手続
研究者等は、研究対象者等から同意を受ける時点で想定される試料・情報の利用目的等について可能な限り説明した場合であって、その後、利用目的等が新たに特定されたときは、研究計画書を作成又は変更した上で、新たに特定された利用目的等についての情報を研究対象者等に通知し、又は公開し、研究が実施されることについて、研究対象者等が同意を撤回できる機会を保障しなければならない。

5 研究対象者に緊急かつ明白な生命の危機が生じている状況における研究の取扱い
研究者等は、あらかじめ研究計画書に定めるところにより、次に掲げる要件の全てに該当すると判断したときは、研究対象者等の同意を受けずに研究を実施することができる。ただし、当該研究を実施した場合には、速やかに、3の規定による説明事項を記載した文書によりインフォームド・コンセントの手続を行わなければならない。

① 研究対象者に緊急かつ明白な生命の危機が生じていること。

② 介入を行う研究の場合には、通常の診療では十分な効果が期待できず、研究の実施により研究対象者の生命の危機が回避できる可能性が十分にあると認められること。

③ 研究の実施に伴って研究対象者に生じる負担及びリスクが必要最小限のものであること。

④ 代諾者又は代諾者となるべき者と直ちに連絡を取ることができないこと。

6 インフォームド・コンセントの手続等の簡略化

(1) 研究者等又は既存試料・情報の提供を行う者は、次に掲げる要件の全てに該当する研究を実施しようとする場合には、研究機関の長の許可を受けた研究計画書に定めるところにより、1及び2の規定による手続の一部又は全部を簡略化することができる。

① 研究の実施に侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴わないこと。

② 1及び2の規定による手続を簡略化することが、研究対象者の不利益とならないこと。

③ 1及び2の規定による手続を簡略化しなければ、研究の実施が困難であり、又は研究の価値を著しく損ねること。

④ 社会的に重要性が高い研究と認められるものであること。

(2) 研究者等は、(1)の規定により1及び2の規定による手続が簡略化される場合には、次に掲げるもののうち適切な措置を講じなければならない。

① 研究対象者等が含まれる集団に対し、試料・情報の収集及び利用の目的及び内容(方法を含む。)について広報すること。

② 研究対象者等に対し、速やかに、事後的説明(集団に対するものを含む。)を行うこと。

③ 長期間にわたって継続的に試料・情報が収集され、又は利用される場合には、社会に対し、その実情を当該試料・情報の収集又は利用の目的及び方法を含めて広報し、社会に周知されるよう努めること。

7 同意の撤回等
研究者等は、研究対象者等から次に掲げるいずれかに該当する同意の撤回又は拒否があった場合には、遅滞なく、当該撤回又は拒否の内容に従った措置を講じるとともに、その旨を当該研究対象者等に説明しなければならない。ただし、当該措置を講じることが困難な場合であって、当該措置を講じないことについて倫理審査委員会の意見を聴いた上で研究機関の長が許可したときは、この限りでない。なお、その場合、当該撤回又は拒否の内容に従った措置を講じない旨及びその理由について、研究者等が研究対象者等に説明し、理解を得るよう努めなければならない。

① 研究が実施又は継続されることに関して与えた同意の全部又は一部の撤回

② 研究について通知され、又は公開された情報に基づく、当該研究が実施又は継続されることの全部又は一部に対する拒否(第13の1(1)イ(ア)②の拒否を含む。)

③ 5の規定によるインフォームド・コンセントの手続における、研究が実施又は継続されることの全部又は一部に対する拒否

④ 代諾者が同意を与えた研究について、研究対象者からのインフォームド・コンセントの手続における、当該研究が実施又は継続されることの全部又は一部に対する拒否

第13 代諾者等からインフォームド・コンセントを受ける場合の手続等

1 代諾の要件等

(1) 研究者等又は既存試料・情報の提供を行う者が、第12の規定による手続において代諾者等からインフォームド・コンセントを受ける場合には、次に掲げる要件がいずれも満たされていなければならない。

ア 研究計画書に次に掲げる事項が記載されていること。

① 代諾者等の選定方針

② 代諾者等への説明事項(イ(ア)又は(イ)に該当する者を研究対象者とする場合には、③に関する説明を含む。)

③ イ(ア)又は(イ)に該当する者を研究対象者とする場合には、当該者を研究対象者とすることが必要な理由

イ 研究対象者が次に掲げるいずれかに該当していること。

(ア) 未成年者であること。ただし、研究対象者が中学校等の課程を修了している又は16歳以上の未成年者であり、かつ、研究を実施されることに関する十分な判断能力を有すると判断される場合であって、次に掲げる事項が研究計画書に記載され、当該研究の実施について倫理審査委員会の意見を聴いた上で研究機関の長が許可したときは、代諾者ではなく当該研究対象者からインフォームド・コンセントを受けるものとする。

① 研究の実施に侵襲を伴わない旨

② 研究の目的及び試料・情報の取扱いを含む研究の実施についての情報を公開し、当該研究が実施又は継続されることについて、研究対象者の親権者又は未成年後見人が拒否できる機会を保障する旨

(イ) 成年であって、インフォームド・コンセントを与える能力を欠くと客観的に判断される者であること。

(ウ) 死者であること。ただし、研究を実施されることが、その生前における明示的な意思に反している場合を除く。

(2) 研究者等又は既存試料・情報の提供を行う者が、第12の規定による手続において代諾者等からインフォームド・コンセントを受ける場合には、(1)ア①の選定方針に従って代諾者等を選定し、当該代諾者等に対して、第12の3の規定によるほか(1)ア②の説明事項を説明しなければならない。

(3) 研究者等又は既存試料・情報の提供を行う者が、代諾者からインフォームド・コンセントを受けた場合であって、研究対象者が中学校等の課程を修了している又は16歳以上の未成年者であり、かつ、研究を実施されることに関する十分な判断能力を有すると判断されるときには、当該研究対象者からもインフォームド・コンセントを受けなければならない。

2 インフォームド・アセントを得る場合の手続等

(1) 研究者等又は既存試料・情報の提供を行う者が、代諾者からインフォームド・コンセントを受けた場合であって、研究対象者が研究を実施されることについて自らの意向を表することができると判断されるときには、インフォームド・アセントを得るよう努めなければならない。ただし、1(3)の規定により研究対象者からインフォームド・コンセントを受けるときは、この限りでない。

(2) 研究責任者は、(1)の規定によるインフォームド・アセントの手続を行うことが予測される研究を実施しようとする場合には、あらかじめ研究対象者への説明事項及び説明方法を研究計画書に記載しなければならない。

(3) 研究者等及び既存試料・情報の提供を行う者は、(1)の規定によるインフォームド・アセントの手続において、研究対象者が、研究が実施又は継続されることの全部又は一部に対する拒否の意向を表した場合には、その意向を尊重するよう努めなければならない。ただし、当該研究を実施又は継続することにより研究対象者に直接の健康上の利益が期待され、かつ、代諾者がそれに同意するときは、この限りでない。

第6章 個人情報等

第14 個人情報等に係る基本的責務

1 個人情報等の保護

(1) 研究者等及び研究機関の長は、個人情報の取扱いに関して、この指針の規定のほか、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第58号)、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第59号)及び地方公共団体において制定される条例等を遵守しなければならない。

(2) 研究者等及び研究機関の長は、死者の尊厳及び遺族等の感情に鑑み、死者について特定の個人を識別することができる情報に関しても、生存する個人に関するものと同様に、2及び第15の規定により適切に取り扱い、必要かつ適切な措置を講じなければならず、また、第16の規定に準じて適切に対応し、必要な措置を講じるよう努めなければならない。

2 適正な取得等

(1) 研究者等は、研究の実施に当たって、偽りその他不正の手段により個人情報等を取得してはならない。

(2) 研究者等は、原則としてあらかじめ研究対象者等から同意を受けている範囲を超えて、研究の実施に伴って取得された個人情報等を取り扱ってはならない。

第15 安全管理

1 適正な取扱い

(1) 研究者等は、研究の実施に伴って取得された個人情報等であって当該研究者等の所属する研究機関が保有しているもの(委託して保管する場合を含む。以下「保有する個人情報等」という。)について、漏えい、滅失又はき損の防止その他の安全管理のため、適切に取り扱わなければならない。

(2) 研究責任者は、研究の実施に際して、保有する個人情報等が適切に取り扱われるよう、研究機関の長と協力しつつ、当該情報を取り扱う他の研究者等に対して、必要な指導・管理を行わなければならない。

2 安全管理のための体制整備、監督等

(1) 研究機関の長は、保有する個人情報等の漏えい、滅失又はき損の防止その他保有する個人情報等の安全管理のため、必要かつ適切な措置を講じなければならない。

(2) 研究機関の長は、当該研究機関において研究の実施に携わる研究者等に保有する個人情報等を取り扱わせようとする場合には、その安全管理に必要な体制及び規程を整備するとともに、研究者等に対して、保有する個人情報等の安全管理が図られるよう必要かつ適切な監督を行わなければならない。

第16 保有する個人情報の開示等

1 保有する個人情報に関する事項の公表等

(1) 研究機関の長は、研究対象者等に係る個人情報に関し、第12の規定により、研究対象者等に説明し、又は個人情報の取扱いを含む研究の実施についての情報を研究対象者等に通知し、若しくは公開している場合を除き、研究の実施に伴って取得された個人情報であって当該研究機関が保有しているもの(委託して保管する場合を含む。以下「保有する個人情報」という。)に関し、次に掲げる事項について、当該個人情報によって識別される特定の個人(以下「本人」という。)又はその代理人が容易に知り得る状態(本人又はその代理人(以下「本人等」という。)の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む。以下同じ。)に置かなければならない。

① 研究機関の名称及び研究機関の長の氏名

② 保有する個人情報の利用目的について、研究に用いられる情報にあっては研究に用いられる旨(他の研究機関へ提供される場合には、その旨を含む。)、研究に用いられる情報でないものにあってはその用途

③ (2)又は2(1)、(3)、(4)若しくは(6)の規定による求め(以下「開示等の求め」という。)に応じる手続(2(2)の規定により手数料の額を定めた場合には、その手数料の額を含む。)

④ 保有する個人情報の取扱いに関する相談等の窓口

(2) 研究機関の長は、本人等から、保有する個人情報のうちその本人を識別することができるものについて、その利用目的の通知を求められた場合には、その求めをした本人等(以下「請求者」という。)に対し、遅滞なく、これを通知しなければならない。

(3) (1)②及び(2)の規定は、次に掲げるいずれかに該当する場合には適用しない。

① 利用目的を容易に知り得る状態に置くこと又は請求者に対して通知することにより、研究対象者等又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合

② 利用目的を容易に知り得る状態に置くこと又は請求者に対して通知することにより、当該研究機関の権利又は正当な利益を害するおそれがある場合

(4) 研究機関の長は、(2)の規定による利用目的の通知について、(3)の規定により通知しない旨の決定をした場合には、請求者に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。また、請求者に対し、その理由を説明し、理解を得るよう努めなければならない。

2 開示等の求めへの対応

(1) 研究機関の長は、本人等から、保有する個人情報のうちその本人を識別することができるものについて、開示(保有する個人情報にその本人が識別されるものが存在しない場合に、その旨を通知することを含む。以下同じ。)を求められた場合には、請求者に対し、遅滞なく、該当する個人情報を開示しなければならない。ただし、開示することにより次に掲げるいずれかに該当する場合には、その全部又は一部を開示しないことができる。また、法令の規定により、保有する個人情報の開示について定めがある場合には、当該法令の規定によるものとする。

① 研究対象者等又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合

② 研究機関の研究業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合

③ 法令に違反することとなる場合

(2) 研究機関の長は、1(2)の規定による利用目的の通知又は(1)の規定による開示を求められたときは、その措置の実施に関し、手数料を徴収することができる。ただし、その場合には、実費を勘案して合理的と認められる範囲内において、その手数料の額を定めなければならない。

(3) 研究機関の長は、本人等から、保有する個人情報のうちその本人を識別することができるものについて、その内容が事実でないという理由によって、当該内容の訂正、追加又は削除(以下「訂正等」という。)を求められた場合には、当該内容の訂正等に関して法令の規定により特別の手続が定められている場合を除き、利用目的の達成に必要な範囲内において、遅滞なく必要な調査を行い、その結果に基づき、当該内容の訂正等を行わなければならない。

(4) 研究機関の長は、本人等から、保有する個人情報のうちその本人を識別することができるものについて、第14の2(1)の規定に反して取得されたものであるという理由又は同(2)の規定に反して取り扱われているという理由によって、該当する個人情報の利用の停止又は消去(以下「利用停止等」という。)を求められた場合であって、その求めが適正と認められるときは、当該規定に反していることを是正するために必要な限度で、遅滞なく、当該個人情報の利用停止等を行わなければならない。ただし、当該個人情報の利用停止等を行うことが困難な場合であって、当該本人の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとるときは、この限りでない。

(5) 研究機関の長は、(1)の規定により求められた措置の全部若しくは一部について当該措置をとらない旨の決定をした場合又は(3)若しくは(4)の規定により求められた措置の全部若しくは一部について当該措置をとった場合若しくは当該措置をとらない旨の決定をした場合には、請求者に対し、遅滞なく、その旨(訂正等を行った場合には、その内容を含む。)を通知しなければならない。また、(1)、(3)又は(4)の規定により、本人等から求められた措置の全部又は一部について、当該措置をとらない旨を通知する場合又は当該措置と異なる措置をとる旨を通知する場合には、請求者に対し、その理由を説明し、理解を得るよう努めなければならない。

(6) 研究機関の長は、本人等から、匿名化されていない試料・情報であってその本人を識別することができるものが第12の規定に反して他の研究機関(共同研究機関を含む。以下同じ。)に提供されているという理由によって、当該試料・情報の他の研究機関への提供の停止を求められた場合であって、その求めが適正と認められるときは、遅滞なく、当該試料・情報の他の研究機関への提供を停止しなければならない。ただし、当該試料・情報の他の研究機関への提供を停止することが困難な場合であって、当該本人の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとるときは、この限りでない。

(7) 研究機関の長は、(6)の規定により提供の停止を求められた匿名化されていない試料・情報の全部又は一部について、他の研究機関への提供を停止した場合又は他の研究機関への提供を停止しない旨の決定をした場合には、請求者に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。また、他の研究機関への提供を停止しない旨を通知する場合又は他の研究機関への提供の停止と異なる措置をとる旨を通知する場合には、請求者に対し、その理由を説明し、理解を得るよう努めなければならない。

(8) 研究機関の長は、開示等の求めに応じる手続として、次に掲げる事項を定めることができる。なお、その場合には本人等に過重な負担を課するものとならないよう、その負担の軽減に努めなければならない。また、本人等が当該手続によらずに開示等の求めを行ったときは、請求者に対し、開示等の求めに応じることが困難である旨を通知することができる。

① 開示等の求めの申出先

② 開示等の求めに際して提出すべき書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。)の様式その他の開示等の求めの方式

③ 開示等の求めをする者が本人等であることの確認の方法

④ (2)の規定により手数料を定めた場合には、その徴収方法

(9) 研究機関の長は、本人等から開示等の求めがあった場合において、請求者に対し、その対象となる保有する個人情報を特定するに足りる事項の提示を求めることができる。なお、本人等が容易かつ的確に開示等の求めを行うことができるよう、当該個人情報の特定に資する情報の提供その他本人等の利便を考慮するとともに、本人等に過重な負担を課するものとならないよう配慮しなければならない。

第7章 重篤な有害事象への対応

第17 重篤な有害事象への対応

1 研究者等の対応
研究者等は、侵襲を伴う研究の実施において重篤な有害事象の発生を知った場合には、3(1)の規定による手順書等に従い、研究対象者等への説明等、必要な措置を講じるとともに、速やかに研究責任者に報告しなければならない。

2 研究責任者の対応

(1) 研究責任者は、侵襲を伴う研究の実施において重篤な有害事象の発生を知った場合には、速やかに、その旨を研究機関の長に報告するとともに、3(1)の規定による手順書等に従い、適切な対応を図らなければならない。また、速やかに当該研究の実施に携わる研究者等に対して、当該有害事象の発生に係る情報を共有しなければならない。

(2) 研究責任者は、他の研究機関と共同で実施する侵襲を伴う研究の実施において重篤な有害事象の発生を知った場合には、速やかに当該研究を実施する共同研究機関の研究責任者に対して、当該有害事象の発生に係る情報を共有しなければならない。

3 研究機関の長の対応

(1) 研究機関の長は、侵襲を伴う研究を実施しようとする場合には、あらかじめ、重篤な有害事象が発生した際に研究者等が実施すべき事項に関する手順書を作成し、当該手順書に従って適正かつ円滑に対応が行われるよう必要な措置を講じなければならない。

(2) 研究機関の長は、2(1)の規定により研究責任者から重篤な有害事象の発生について報告がなされた場合には、手順書に従って速やかに必要な対応を行うとともに、当該有害事象について倫理審査委員会の意見を聴き、必要な措置を講じなければならない。

(3) 侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものの実施において予測できない重篤な有害事象が発生し、当該研究との直接の因果関係が否定できない場合には、当該有害事象が発生した研究機関の長は、速やかに、厚生労働大臣に報告するとともに、(2)の規定による対応の状況及び結果を公表しなければならない。

第8章 研究の信頼性確保

第18 利益相反の管理

(1) 研究者等は、研究を実施するときは、個人の収益等、当該研究に係る利益相反に関する状況について、その状況を研究責任者に報告し、透明性を確保するよう適切に対応しなければならない。

(2) 研究責任者は、医薬品又は医療機器の有効性又は安全性に関する研究等、商業活動に関連し得る研究を実施する場合には、当該研究に係る利益相反に関する状況を把握し、研究計画書に記載しなければならない。

(3) 研究者等は、(2)の規定により研究計画書に記載された利益相反に関する状況を、第12に規定するインフォームド・コンセントを受ける手続において研究対象者等に説明しなければならない。

第19 研究に係る試料及び情報等の保管

(1) 研究者等は、研究に用いられる情報及び当該情報に係る資料(以下「情報等」という。)を正確なものにしなければならない。

(2) 研究責任者は、人体から取得された試料及び情報等を保管するときは、(3)の規定による手順書に基づき、研究計画書にその方法を記載するとともに、研究者等が情報等を正確なものにするよう指導・管理し、人体から取得された試料及び情報等の漏えい、混交、盗難、紛失等が起こらないよう必要な管理を行わなければならない。

(3) 研究機関の長は、人体から取得された試料及び情報等の保管に関する手順書を作成し、当該手順書に従って、当該研究機関が実施する研究に係る人体から取得された試料及び情報等が適切に保管されるよう必要な監督を行わなければならない。

(4) 研究責任者は、(3)の規定による手順書に従って、(2)の規定による管理の状況について研究機関の長へ報告しなければならない。

(5) 研究機関の長は、当該研究機関の情報等について、可能な限り長期間保管されるよう努めなければならず、侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものを実施する場合には、少なくとも、当該研究の終了について報告された日から5年を経過した日又は当該研究の結果の最終の公表について報告された日から3年を経過した日のいずれか遅い日までの期間、適切に保管されるよう必要な監督を行わなければならない。また、連結可能匿名化された情報について、当該研究機関が対応表を保有する場合には、対応表の保管についても同様とする。

(6) 研究機関の長は、人体から取得された試料及び情報等を廃棄する場合には、匿名化されるよう必要な監督を行わなければならない。

第20 モニタリング及び監査

(1) 研究責任者は、研究の信頼性の確保に努めなければならず、侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものを実施する場合には、研究機関の長の許可を受けた研究計画書に定めるところにより、モニタリング及び必要に応じて監査を実施しなければならない。

(2) 研究責任者は、研究機関の長の許可を受けた研究計画書に定めるところにより適切にモニタリング及び監査が行われるよう、モニタリングに従事する者及び監査に従事する者に対して必要な指導・管理を行わなければならない。

(3) 研究責任者は、監査の対象となる研究の実施に携わる者及びそのモニタリングに従事する者に、監査を行わせてはならない。

(4) モニタリングに従事する者は、当該モニタリングの結果を研究責任者に報告しなければならない。また、監査に従事する者は、当該監査の結果を研究責任者及び研究機関の長に報告しなければならない。

(5) モニタリングに従事する者及び監査に従事する者は、その業務上知り得た情報を正当な理由なく漏らしてはならない。その業務に従事しなくなった後も同様とする。

(6) 研究機関の長は、(1)の規定によるモニタリング及び監査の実施に協力するとともに、当該実施に必要な措置を講じなければならない。

第9章 その他

第21 施行期日

この指針は、平成27年4月1日から施行する。ただし、第20の規定は、平成27年10月1日から施行する。

第22 経過措置

(1) この指針の施行の際現に廃止前の疫学研究に関する倫理指針又は臨床研究に関する倫理指針の規定により実施中の研究については、なお従前の例によることができる。

(2) この指針の施行前において、現に廃止前の疫学研究に関する倫理指針又は臨床研究に関する倫理指針の規定により実施中の研究について、研究者等及び研究機関の長又は倫理審査委員会の設置者が、それぞれ、この指針の規定により研究を実施し又は倫理審査委員会を運営することを妨げない。

第23 見直し

この指針は、必要に応じ、又は施行後5年を目途としてその全般に関して検討を加えた上で、見直しを行うものとする。

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