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 遺伝子治療等臨床研究に関する指針(厚生労働省告示第344号)

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遺伝子治療等臨床研究に関する指針(厚生労働省告示第344号)

取扱い業務の図示イメージ

遺伝子治療等臨床研究に関する指針 (平成二十七年八月十二日)
(厚生労働省告示第三百四十四号)
遺伝子治療等臨床研究に関する指針を次のように定める。

遺伝子治療等臨床研究に関する指針

第一章 総則

第一
 目的
 この指針は、遺伝子治療等の臨床研究(以下「遺伝子治療等臨床研究」という。)に関し遵守すべき事項を定め、もって遺伝子治療等臨床研究の医療上の有用性及び倫理性を確保し、社会に開かれた形での適正な実施を図ることを目的とする。

第二 用語の定義

一 この指針において「遺伝子治療等」とは、疾病の治療や予防を目的として遺伝子又は遺伝子を導入した細胞を人の体内に投与することをいう。

二 この指針において「被験者」とは、遺伝子治療等臨床研究において、遺伝子治療等の対象となる者をいう。

三 この指針において「研究者」とは、遺伝子治療等臨床研究を実施する者をいう。

四 この指針において「研究責任者」とは、研究機関において、遺伝子治療等臨床研究を実施する研究者に必要な指示を行うほか、遺伝子治療等臨床研究を総括する立場にある研究者をいう。

五 この指針において「総括責任者」とは、他の研究機関と共同して実施する遺伝子治療等臨床研究において、研究者及び研究責任者に必要な指示を行うほか、当該遺伝子治療等臨床研究に係る業務を総括する研究責任者をいう。

六 この指針において「研究機関」とは、遺伝子治療等臨床研究を実施する法人、行政機関及び個人事業主をいう。

七 この指針において「研究機関の長」とは、遺伝子治療等臨床研究を実施する法人の代表者、行政機関の長及び個人事業主をいう。

八 この指針において「共同研究機関」とは、研究計画書に基づいて遺伝子治療等臨床研究を共同して実施する研究機関をいう。

九 この指針において「倫理審査委員会」とは、遺伝子治療等臨床研究の実施又は継続の適否その他遺伝子治療等臨床研究に関し必要な事項について、倫理的及び科学的な観点から調査審議するために設置された合議制の機関をいう。

十 この指針において「試料」とは、血液、体液、組織、細胞、排泄せつ物及びこれらから抽出したDNA等、人の体の一部であって研究に用いられるもの(死者に係るものを含む。)をいう。

十一 この指針において「研究に用いられる情報」とは、被験者の診断及び治療を通じて得られた傷病名、投薬内容、検査又は測定の結果等、人の健康に関する情報その他の情報であって研究に用いられるもの(死者に係るものを含む。)をいう。

十二 この指針において「試料・情報」とは、試料及び研究に用いられる情報をいう。

十三 この指針において「インフォームド・コンセント」とは、被験者又はその代諾者(以下「被験者等」という。)が、実施又は継続されようとする遺伝子治療等臨床研究に関して、当該遺伝子治療等臨床研究の目的及び意義並びに方法、被験者に生じる負担、予測される結果(リスク及び利益を含む。)等について十分な説明を受け、それらを理解した上で自由意思に基づいて研究責任者等(研究責任者又は研究責任者の指示を受けた医師である研究者をいう。以下同じ。)に対し与える、当該遺伝子治療等臨床研究(試料・情報の取扱いを含む。)を実施又は継続されることに関する同意をいう。

十四 この指針において「代諾者」とは、被験者の意思及び利益を代弁できると考えられる者であって、当該被験者がインフォームド・コンセントを与える能力を欠くと客観的に判断される場合に、当該被験者の代わりに、研究責任者等に対してインフォームド・コンセントを与えることができる者をいう。

十五 この指針において「インフォームド・アセント」とは、インフォームド・コンセントを与える能力を欠くと客観的に判断される被験者が、実施又は継続されようとする遺伝子治療等臨床研究に関して、その理解力に応じた分かりやすい言葉で説明を受け、当該遺伝子治療等臨床研究を実施又は継続されることを理解し、賛意を表することをいう。

十六 この指針において「最終産物」とは、被験者に投与する最終的に作製された疾病の治療又は予防のための遺伝子が組み込まれたDNA又はこれを含むウイルスその他の粒子(以下「組換え遺伝子等」という。)等をいう。

十七 この指針において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるものをいい、他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。

十八 この指針において「個人情報等」とは、個人情報に加えて、死者について特定の個人を識別することができる情報を含めたものをいう。

十九 この指針において「匿名化」とは、特定の個人(死者を含む。以下同じ。)を識別することができることとなる記述等の全部又は一部を取り除き、代わりに当該個人と関わりのない符合又は番号を付すこという。
 なお、個人情報等のうち、それ自体では特定の個人を識別することができないものであっても、他で入手できる情報と照合することにより特定の個人を識別することができる場合には、照合に必要な情報の全部又は一部を取り除いて、特定の個人を識別することができないようにすることを含むものとする。

二十 この指針において「連結可能匿名化」とは、必要な場合に特定の個人を識別することができるように、当該個人と新たに付された符号又は番号との対応表を残す方法による匿名化をいう。

二十一 この指針において「有害事象」とは、実施された遺伝子治療等臨床研究との因果関係の有無を問わず、被験者に生じた全ての好ましくない若しくは意図しない傷病又はその徴候(臨床検査値の異常を含む。)をいう。

二十二 この指針において「重篤な有害事象」とは、有害事象のうち、次に掲げるいずれかに該当するものをいう。

① 死に至るもの

② 生命を脅かすもの

③ 治療のための入院又は入院期間の延長が必要となるもの

④ 永続的又は顕著な障害・機能不全に陥るもの

⑤ 子孫に先天異常を来すもの

二十三 この指針において「モニタリング」とは、遺伝子治療等臨床研究が適正に行われることを確保するため、遺伝子治療等臨床研究がどの程度進捗しているか並びにこの指針及び研究計画書に従って行われているかについて、研究責任者が指定した者に行わせる調査をいう。

二十四 この指針において「監査」とは、遺伝子治療等臨床研究の結果の信頼性を確保するため、遺伝子治療等臨床研究がこの指針及び研究計画書に従って行われたかについて、研究責任者が指定した者に行わせる調査をいう。

第三
 適用範囲

一 適用される研究
 この指針は、我が国の研究機関により実施され、又は日本国内において実施される遺伝子治療等臨床研究を対象とする。
 ただし、第十二から第三十四までの規定は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)に定める治験に該当する遺伝子治療等臨床研究及び遺伝子を導入した細胞を人の体内に投与する遺伝子治療等臨床研究については、適用しない。

二 日本国外において実施される研究

1 我が国の研究機関が日本国外において遺伝子治療等臨床研究を実施する場合(海外の研究機関と共同して遺伝子治療等臨床研究を実施する場合を含む。)は、この指針に従うとともに、実施地の法令、指針等の基準を遵守しなければならない。ただし、この指針の規定と比較して実施地の法令、指針等の基準の規定が厳格な場合には、この指針の規定に代えて当該実施地の法令、指針等の基準の規定により遺伝子治療等臨床研究を実施するものとする。

2 この指針の規定が日本国外の実施地における法令、指針等の基準の規定より厳格であり、この指針の規定により遺伝子治療等臨床研究を実施することが困難な場合であって、次に掲げる事項が研究計画書に記載され、当該遺伝子治療等臨床研究の実施について倫理審査委員会の意見を聴いて我が国の研究機関の長が許可したときには、この指針の規定に代えて当該実施地の法令、指針等の基準の規定により遺伝子治療等臨床研究を実施することができるものとする。

① インフォームド・コンセントについて適切な措置が講じられる旨

② 遺伝子治療等臨床研究の実施に伴って取得される個人情報等の保護について適切な措置が講じられる旨

第四
 遺伝子治療等臨床研究の対象の要件
 遺伝子治療等臨床研究の対象は、次のすべての要件に適合するものに限る。

1 遺伝子治療等臨床研究による治療・予防効果が、現在可能な他の方法と比較して同等以上であることが十分予測されるものであること。

2 被験者にとって遺伝子治療等臨床研究により得られる利益が、不利益を上回ることが十分予測されるものであること。また、当該遺伝子治療等臨床研究が予防を目的とする場合には、利益が不利益を大きく上回ることが十分予測されるものであること。

第五
 有効性及び安全性
 遺伝子治療等臨床研究は、有効かつ安全なものであることが十分な科学的知見に基づき予測されるものに限る。

第六
 品質等の確認
 遺伝子治療等臨床研究に使用される遺伝子その他の人に投与される物質については、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号)第17条若しくは再生医療等製品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成26年厚生労働省令第89号)第25条において求められる水準に達している施設又は再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成25年法律第85号)第2条第8項の特定細胞加工物製造事業者が、同法第35条第1項の許可若しくは同法第39条第1項の認定を受けた又は第40条第1項の規定による届出をした細胞培養加工施設において製造され、その品質、有効性及び安全性が確認されているものに限る。

第七
 生殖細胞等の遺伝的改変の禁止
 人の生殖細胞又は胚(一の細胞又は細胞群であって、そのまま人又は動物の胎内において発生の過程を経ることにより一の個体に成長する可能性のあるもののうち、胎盤の形成を開始する前のものをいう。以下同じ。)の遺伝的改変を目的とした遺伝子治療等臨床研究及び人の生殖細胞又は胚の遺伝的改変をもたらすおそれのある遺伝子治療等臨床研究は、行ってはならない。

第八
 適切な説明に基づくインフォームド・コンセントの確保
遺伝子治療等臨床研究は、適切な説明に基づくインフォームド・コンセントが確実に確保されて実施されなければならない。

第九
 公衆衛生上の安全の確保
 遺伝子治療等臨床研究は、公衆衛生上の安全が十分確保されて実施されなければならない。

第十
 情報の公開
 遺伝子治療等臨床研究は、第十九の一に規定するデータベースに登録され、その情報は適切かつ正確に公開されなければならない。

第十一
 被験者の選定
 被験者の選定に当たっては、人権保護の観点から、病状、年齢、同意能力等を考慮し、慎重に検討しなければならない。

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第二章 研究者等の責務等

第十二
 研究者の基本的責務等

一 研究者は、次の業務を行わなければならない。

1 被験者等への配慮

(1) 研究者は、被験者の生命、健康及び人権を尊重して、遺伝子治療等臨床研究を実施しなければならない。

(2) 研究者は、遺伝子治療等臨床研究を実施するに当たっては、あらかじめインフォームド・コンセントを受けなければならない。

(3) 研究者は、被験者等及びその関係者からの相談、問合せ、苦情等(以下「相談等」という。)に適切かつ迅速に対応しなければならない。

(4) 研究者は、遺伝子治療等臨床研究の実施に携わる上で知り得た情報を正当な理由なく漏らしてはならない。遺伝子治療等臨床研究の実施に携わらなくなった後も、同様とする。

(5) 研究者は、遺伝子治療等臨床研究に関連する情報の漏えい等、被験者等の人権を尊重する観点又は遺伝子治療等臨床研究の実施上の観点から重大な懸念が生じた場合には、速やかに研究機関の長及び研究責任者に報告しなければならない。

2 遺伝子治療等臨床研究の倫理的妥当性及び科学的合理性の確保等

(1) 研究者は、法令、指針等を遵守し、倫理審査委員会及び厚生労働大臣の意見を尊重し、研究機関の長が許可した研究計画書に従って、適正に研究を実施しなければならない。

(2) 研究者は、研究責任者を補助し遺伝子治療等臨床研究の研究計画に関する資料を作成するとともに、当該計画を実施し、研究責任者に対し必要な報告を行わなければならない。

(3) 研究者は、遺伝子治療等臨床研究の倫理的妥当性若しくは科学的合理性を損なう事実若しくは情報又は損なうおそれのある情報を得た場合((4)に該当する場合を除く。)には、速やかに研究責任者に報告しなければならない。

(4) 研究者は、遺伝子治療等臨床研究の実施の適正性若しくは研究結果の信頼を損なう事実若しくは情報又は損なうおそれのある情報を得た場合には、速やかに研究責任者又は研究機関の長に報告しなければならない。

3 教育・研修
 研究者は、遺伝子治療等臨床研究の実施に先立ち、遺伝子治療等臨床研究に関する倫理並びに当該遺伝子治療等臨床研究の実施に必要な知識及び技術に関する教育・研修を受けなければならない。また、研究期間中も適宜継続して、教育・研修を受けなければならない。

二 研究者は、遺伝子治療等臨床研究を適正に実施するために必要な専門的知識又は臨床経験を有する者とする。

第十三
 研究責任者の責務

一 研究責任者は、次の業務を行わなければならない。

1 研究計画書の作成及び研究者に対する遵守徹底

(1) 研究責任者は、遺伝子治療等臨床研究の実施に関して国内外の入手し得る資料及び情報に基づき、遺伝子治療等臨床研究の医療上の有用性及び倫理性について検討を行い、その検討の結果を踏まえて、遺伝子治療等臨床研究の遂行に必要な体制を整え、あらかじめ、研究計画書を作成し、研究機関の長の許可を求めなければならない。研究計画書を変更するときも同様とする。

(2) 研究責任者は、当該遺伝子治療等臨床研究に関連して被験者に生じた健康被害に対する補償を行うために、あらかじめ、保険への加入その他の必要な措置を適切に講じなければならない。

(3) 研究責任者は、第十九の規定により、研究の概要その他の遺伝子治療等臨床研究に関する情報を適切に登録するとともに、遺伝子治療等臨床研究の結果については、これを公表しなければならない。

(4) 研究責任者は、研究計画書に従って遺伝子治療等臨床研究が適正に実施され、その結果の信頼性が確保されるよう、当該遺伝子治療等臨床研究の実施に携わる研究者を指導・管理しなければならない。

2 遺伝子治療等臨床研究の進捗状況の管理・監督及び有害事象等の把握・報告

(1) 研究責任者は、遺伝子治療等臨床研究の実施に係る必要な情報を収集するなど、遺伝子治療等臨床研究の適正な実施及び研究結果の信頼性の確保に努めなければならない。

(2) 研究責任者は、遺伝子治療等臨床研究の倫理的妥当性若しくは科学的合理性を損なう事実若しくは情報又は損なうおそれのある情報であって遺伝子治療等臨床研究の継続に影響を与えると考えられるものを得た場合((3)に該当する場合を除く。)には、速やかに、研究機関の長及び総括責任者に対して報告し、必要に応じて、遺伝子治療等臨床研究を停止し、若しくは中止し、又は研究計画書を変更しなければならない。

(3) 研究責任者は、遺伝子治療等臨床研究の実施の適正性若しくは研究結果の信頼を損なう事実若しくは情報又は損なうおそれのある情報を得た場合には、速やかに研究機関の長及び総括責任者に報告し、必要に応じて、遺伝子治療等臨床研究を停止し、若しくは中止し、又は研究計画書を変更しなければならない。

(4) 研究責任者は、遺伝子治療等臨床研究の実施において、当該遺伝子治療等臨床研究により期待される利益よりも予測されるリスクが高いと判断される場合又は当該遺伝子治療等臨床研究により十分な成果が得られた若しくは十分な成果が得られないと判断される場合には、当該遺伝子治療等臨床研究を中止しなければならない。

(5) 研究責任者は、研究計画書に定めるところにより、遺伝子治療等臨床研究の進捗状況及び遺伝子治療等臨床研究の実施に伴う有害事象の発生状況等を、研究機関の長、総括責任者及び倫理審査委員会に文書で報告しなければならない。この場合において、進捗状況に関しては少なくとも、年1回以上、報告する。

(6) 研究責任者は、遺伝子治療等臨床研究を終了(中止の場合を含む。以下同じ。)したときは、研究機関の長及び総括責任者に必要な事項について報告しなければならない。

(7) 研究責任者は、他の研究機関と共同で遺伝子治療等臨床研究を実施する場合には、共同研究機関の研究責任者に対し当該遺伝子治療等臨床研究に関連する必要な情報を共有しなければならない。

3 遺伝子治療等臨床研究の実施後の被験者への対応

(1) 研究責任者は、遺伝子治療等臨床研究の実施後においても、被験者が当該遺伝子治療等臨床研究の成果を含め必要な最善の予防、診断及び治療を受けることができるよう努めなければならない。

(2) 研究責任者は、遺伝子治療等臨床研究の実施後においても、安全性及び有効性の確保の観点から、遺伝子治療等による効果及び副作用について適当な期間の追跡調査その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない。また、その結果については、研究機関の長及び総括責任者に報告しなければならない。

4 研究責任者は、1から3までに定めるもののほか、自らの研究機関における遺伝子治療等臨床研究を総括するにあたって必要な措置を講じなければならない。

二 研究責任者は、1件の遺伝子治療等臨床研究について1研究機関につき1名とし、一に掲げる業務を適確に実施できる者とする。

第十四
 総括責任者の責務

一 総括責任者は、次の業務を行わなければならない。

1 総括責任者は、遺伝子治療等臨床研究の実施に関して国内外の入手し得る資料及び情報に基づき、遺伝子治療等臨床研究の医療上の有用性及び倫理性について検討を行い、その検討の結果を踏まえて、あらかじめ、研究計画書を作成し、自らが所属する研究機関の長の許可を求めなければならない。研究計画書を変更するときも同様とする。

2 総括責任者は、遺伝子治療等臨床研究を総括し、他の研究責任者に必要な指示を与えるとともに、適宜、他の研究責任者に対する教育及び研修を行わなければならない。

3 総括責任者は、第十三の一の2(2)又は(3)の規定により報告を受けた場合は、自らが所属する研究機関の長及び全ての研究責任者に対し、速やかに、その旨を報告しなければならない。

4 総括責任者は、1から3までに定めるもののほか、遺伝子治療等臨床研究を総括するに当たって必要な措置を講じなければならない。

二 他の研究機関と共同して実施する遺伝子治療等臨床研究において、総括責任者は、遺伝子治療等臨床研究1件につき1名とし、各研究機関の研究責任者の中から1名に限り選任するものとする。

三 総括責任者は、研究責任者の業務を行うとともに、他の研究責任者から依頼された第十九の一の規定による遺伝子治療等臨床研究の研究概要等の登録を代表して行うことができる。この場合には、当該遺伝子治療等臨床研究を実施する全ての研究機関に関する情報も登録しなければならない。

第十五
 研究機関
 研究機関は、次のすべての要件を満たさなければならない。

一 十分な臨床観察及び検査並びにこれらの結果の分析及び評価を行うことができる人的能力及び施設機能を備えたものであること。

二 被験者の病状に応じた必要な措置を採ることができる人的能力及び施設機能を備えたものであること。

第十六
 研究機関の長の責務
 研究機関の長は、次の業務を行わなければならない。

一 研究に対する総括的な監督

1 研究機関の長は、実施を許可した遺伝子治療等臨床研究について、適正に実施されるよう必要な監督を行うとともに、最終的な責任を負うものとする。

2 研究機関の長は、研究者に、被験者の生命、健康及び人権を尊重して遺伝子治療等臨床研究を実施することを周知徹底しなければならない。

3 研究機関の長は、その業務上知り得た情報を正当な理由なく漏らしてはならない。その業務に従事しなくなった後も、同様とする。

4 研究機関の長は、遺伝子治療等臨床研究に関する業務の一部を委託する場合には、委託を受けた者が遵守すべき事項について、文書による契約を締結するとともに、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。

二 遺伝子治療等臨床研究の実施のための体制・規程の整備等

1 研究機関の長は、遺伝子治療等臨床研究を適正に実施するために必要な体制・規程を整備しなければならない。

2 研究機関の長は、当該研究機関の実施する遺伝子治療等臨床研究に関連して被験者に健康被害が生じた場合、これに対する補償その他の必要な措置が適切に講じられることを確保しなければならない。

3 研究機関の長は、研究結果等、遺伝子治療等臨床研究に関する情報が適切に公表されることを確保しなければならない。

4 研究機関の長は、当該研究機関における遺伝子治療等臨床研究がこの指針に適合していることについて、必要に応じ、自ら点検及び評価を行い、その結果に基づき適切な対応をとらなければならない。

5 研究機関の長は、遺伝子治療等臨床研究に関する倫理並びに遺伝子治療等臨床研究の実施に必要な知識及び技術に関する教育・研修を当該研究機関の研究者が受けることを確保するための措置を講じなければならない。また、自らもこれらの教育・研修を受けなければならない。

6 研究機関の長は、当該研究機関において定められた規程により、この指針に定める権限又は事務を当該研究機関内の適当な者に委任することができる。

三 研究の許可等

1 研究機関の長は、研究責任者から、遺伝子治療等臨床研究の実施又は当該遺伝子治療等臨床研究の重大な変更の許可を求められたときは倫理審査委員会及び厚生労働大臣に、その他の当該遺伝子治療等臨床研究の変更の許可を求められたときは倫理審査委員会に意見を求め、その意見を尊重し、当該許可又は不許可その他研究に関し必要な措置について決定しなければならない。なお、他の研究機関と共同して実施する遺伝子治療等臨床研究について厚生労働大臣に意見を求める場合には、一括して意見を求めることができる。

2 研究機関の長は、遺伝子治療等臨床研究の継続に影響を与えると考えられる事実又は情報について報告を受けた場合には、必要に応じて倫理審査委員会に意見を求め、その意見を尊重するとともに、必要に応じて速やかに、遺伝子治療等臨床研究の停止、原因の究明等、適切な対応をとらなければならない。なお、研究機関の長は、倫理審査委員会の意見を聴く前に、必要に応じ、研究責任者に対し、遺伝子治療等臨床研究の中止又は暫定的な措置を講ずるよう、指示することができる。

3 研究機関の長は、倫理審査委員会及び厚生労働大臣が行う調査に協力しなければならない。

4 研究機関の長は、遺伝子治療等臨床研究の実施の適正性若しくは研究結果の信頼を損なう事実若しくは情報又は損なうおそれのある情報について報告を受けた場合には、速やかに必要な措置を講じなければならない。

5 研究機関の長は、研究責任者から遺伝子治療等臨床研究の終了について報告を受けたときは、当該遺伝子治療等臨床研究に関する審査を行った倫理審査委員会に必要な事項について報告をしなければならない。

四 厚生労働大臣への報告等

1 研究機関の長は、遺伝子治療等臨床研究の進捗状況及び研究結果について、研究責任者又は倫理審査委員会から報告又は意見を受け、必要に応じ、研究責任者に対しその留意事項、改善事項等に関して指示を与えるとともに厚生労働大臣に対し報告を行わなければならない。

2 研究機関の長は、研究責任者から受理した総括報告書の写しを速やかに厚生労働大臣に提出しなければならない。

3 研究機関の長は、第十二の一の1(5)又は第十三の一の2(2)若しくは(3)の規定による報告を受けた場合等、遺伝子治療等臨床研究の継続に影響を与えると考えられる事実又は情報について、速やかに厚生労働大臣に報告しなければならない。

4 研究機関の長は、当該研究機関が実施している又は過去に実施した遺伝子治療等臨床研究について、この指針に適合していないことを知った場合には、速やかに倫理審査委員会の意見を聴き、必要な対応を行うとともに、不適合の程度が重大な場合であるときは、その対応の状況・結果を厚生労働大臣に報告し、公表しなければならない。

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第三章 研究計画書

第十七
 研究計画書に関する手続

一 研究計画書の作成・変更

1 研究責任者は遺伝子治療等臨床研究を実施(研究計画書を変更して実施する場合を含む。第二十四の一を除き以下同じ。)しようとするときは、あらかじめ研究計画書を作成し、研究機関の長の許可を受けなければならない。

2 研究責任者は、他の研究機関と共同して遺伝子治療等臨床研究を実施しようとする場合には、各共同研究機関の研究責任者の役割及び責任を明確にした上で、第十四の一の1の規定により総括責任者が作成する研究計画書を踏まえて研究計画書を作成しなければならない。

3 研究責任者は、当該研究責任者の所属する研究機関における遺伝子治療等臨床研究に関する業務の一部について委託しようとする場合には、当該委託業務の内容を定めた上で研究計画書を作成しなければならない。

二 倫理審査委員会への付議

1 研究機関の長は、研究責任者から、当該研究機関における遺伝子治療等臨床研究の実施の許可を求められたときは、当該遺伝子治療等臨床研究の実施の適否について、倫理審査委員会の意見を聴かなければならない。

2 研究機関の長は、他の研究機関と共同して実施する遺伝子治療等臨床研究について倫理審査委員会の意見を聴く場合には、共同研究機関における遺伝子治療等臨床研究の実施の許可、他の倫理審査委員会における審査結果及び当該遺伝子治療等臨床研究の進捗に関する状況等の審査に必要な情報についても倫理審査委員会へ提供しなければならない。

3 研究機関の長は、他の研究機関と共同して実施する遺伝子治療等臨床研究に係る研究計画書について、一つの倫理審査委員会による一括した審査を求めることができる。

三 研究機関の長による許可
 研究機関の長は、倫理審査委員会及び厚生労働大臣の意見を尊重し、遺伝子治療等臨床研究の実施の許可又は不許可その他遺伝子治療等臨床研究について必要な措置を決定しなければならない。この場合において、研究機関の長は、倫理審査委員会又は厚生労働大臣が研究の実施について不適当である旨の意見を述べたときには、当該研究の実施を許可してはならない。

四 研究中の手続

1 研究責任者は、研究計画書に定めるところにより、遺伝子治療等臨床研究の進捗状況及び遺伝子治療等臨床研究の実施に伴う有害事象の発生状況等を、研究機関の長、総括責任者及び倫理審査委員会に文書で報告しなければならない。この場合において、進捗状況に関しては少なくとも年1回以上の報告とする。

2 研究機関の長は、遺伝子治療等臨床研究の進捗状況及び遺伝子治療等臨床研究の実施に伴う有害事象の発生状況等について、研究責任者又は倫理審査委員会から報告又は意見を受け、必要に応じ、研究責任者に対しその留意事項、改善事項等に関して指示を与えるとともに、厚生労働大臣に対し報告を行わなければならない。

五 研究終了後の対応

1 研究責任者は、遺伝子治療等臨床研究の終了後直ちに次の事項を記載した総括報告書を作成し、速やかに研究機関の長(総括責任者を置く場合にあっては、研究機関の長及び総括責任者。)に報告しなければならない。

① 遺伝子治療等臨床研究の名称

② 研究責任者及びその他の研究者(他の研究機関と共同して研究を実施する場合には、総括責任者及び共同研究機関の研究責任者を含む。)の氏名

③ 研究機関及び共同研究機関の名称及び所在地

④ 遺伝子治療等臨床研究の目的及び意義

⑤ 遺伝子治療等臨床研究の実施方法及び期間

⑥ 遺伝子治療等臨床研究の結果及び考察

⑦ その他必要な事項

2 研究機関の長は、研究責任者から1の規定による報告を受けたときは、当該遺伝子治療等臨床研究に関する審査を行った倫理審査委員会に、遺伝子治療等臨床研究が終了した旨及びその結果の概要を文書により報告するとともに、総括報告書の写しを速やかに厚生労働大臣に提出しなければならない。

第十八
 研究計画書の記載事項

一 第十七の一の1の研究計画書には、次の事項を記載しなければならない。

① 遺伝子治療等臨床研究の名称

② 研究責任者及びその他の研究者(他の研究機関と共同して研究を実施する場合には、総括責任者及び共同研究機関の研究責任者を含む。)の氏名並びに当該遺伝子治療等臨床研究において果たす役割

③ 研究機関及び共同研究機関の名称及びその所在地

④ 遺伝子治療等臨床研究の目的及び意義

⑤ 遺伝子治療等臨床研究の実施方法及び期間

⑥ 対象疾患及びその選定理由

⑦ 被験者の選定方針

⑧ 導入する遺伝子及び遺伝子の導入方法

(1) 開発の経緯

(2) 導入する遺伝子

(3) 遺伝子の導入方法

(4) 被験者に投与する最終産物の組成

⑨ 特性解析と品質試験

⑩ 被験者への投与に用いられる特殊な機器及び医療材料

⑪ 非臨床試験における安全性及び有効性の評価

(1) 臨床的有効性を予測するための試験

(2) 生体内分布

(3) 非臨床試験における安全性の評価

(4) 非臨床試験の成績の総括

⑫ 遺伝子治療等臨床研究の実施が可能であると判断した理由

⑬ 第二十二の規定によるインフォームド・コンセントを受ける手続等(同規定による説明及び同意に関する事項を含む。)

⑭ 個人情報等の取扱い(匿名化する場合にはその方法を含む。)

⑮ 被験者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益、これらの総合的評価並びに当該負担及びリスクを最小化する対策

⑯ 試料・情報(研究に用いられる情報に係る資料を含む。)の保管及び廃棄の方法

⑰ 研究機関の長及び倫理審査委員会への報告内容及び方法

⑱ 研究の資金源等、研究機関の遺伝子治療等臨床研究に係る利益相反及び個人の収益等、研究者の遺伝子治療等臨床研究に係る利益相反に関する状況

⑲ 遺伝子治療等臨床研究に関する情報公開の方法

⑳ 被験者等及びその関係者からの相談等への対応

((21)) 代諾者からインフォームド・コンセントを受ける場合には、第二十三の規定による手続(第二十二及び第二十三の規定による代諾者の選定方針並びに説明及び同意に関する事項を含む。)

((22)) インフォームド・アセントを得る場合には、第二十三の規定による手続(説明に関する事項を含む。)

((23)) 被験者に経済的負担又は謝礼がある場合には、その旨及びその内容

((24)) 重篤な有害事象が発生した際の対応

((25)) 遺伝子治療等臨床研究によって生じた健康被害に対する補償の有無及びその内容

((26)) 被験者への遺伝子治療等臨床研究の実施後における医療の提供に関する対応

((27)) 遺伝子治療等臨床研究の実施に伴い、被験者の健康、子孫に受け継がれ得る遺伝的特徴等に関する重要な知見が得られる可能性がある場合には、被験者に係る研究結果(偶発的所見を含む。)の取扱い

((28)) 遺伝子治療等臨床研究に関する業務の一部を委託する場合には、当該業務内容及び委託先の監督方法

((29)) 被験者から取得された試料・情報について、被験者等から同意を受ける時点では特定されない将来の研究のために用いられる可能性又は他の研究機関に提供する可能性がある場合には、その旨と同意を受ける時点において想定される内容

((30)) 第三十三の規定によるモニタリング及び監査の実施体制及び実施手順

((31)) その他必要な事項

二 一の研究計画書には、次の資料を添付しなければならない。

① 研究者の略歴及び研究業績

② 研究機関の施設設備の状況

③ 研究機関における当該遺伝子治療等臨床研究に関する有効性を示唆する試験及び安全性に関する研究の成果がある場合には、当該試験及び研究の成果

④ 遺伝子治療等臨床研究に関連する研究機関以外の国内外の研究状況

⑤ インフォームド・コンセントにおける説明文書及び同意文書の様式

⑥ その他必要な資料

三 研究計画書には、その概要を可能な限り平易な用語を用いて記載した要旨を添付しなければならない。

第十九
 研究に関する登録・公表

一 研究の概要及び結果の登録
 研究責任者(他の研究機関と共同して実施する遺伝子治療等臨床研究の場合にあっては、総括責任者又は研究責任者。)は、遺伝子治療等臨床研究について、国立大学附属病院長会議、一般財団法人日本医薬情報センター又は公益社団法人日本医師会が設置している公開データベースに、当該遺伝子治療等臨床研究の概要をその実施に先立って登録し、研究計画書の変更及び遺伝子治療等臨床研究の進捗に応じて適宜更新しなければならず、また、遺伝子治療等臨床研究を終了したときは、遅滞なく、当該遺伝子治療等臨床研究の結果を登録しなければならない。ただし、被験者等及びその関係者の人権又は研究者及びその関係者の権利利益の保護のため非公開とすることが必要な内容として、倫理審査委員会の意見を受けて研究機関の長が許可したものについては、この限りでない。

二 研究結果の公表
 研究責任者は、遺伝子治療等臨床研究を終了したときは、遅滞なく、被験者等及びその関係者の人権又は研究者及びその関係者の権利利益の保護のために必要な措置を講じた上で、当該遺伝子治療等臨床研究の結果を公表しなければならない。また、結果の最終の公表を行ったときは、遅滞なく研究機関の長へ報告しなければならない。

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第四章 倫理審査委員会

第二十
 倫理審査委員会の設置等

一 倫理審査委員会の設置の要件
 倫理審査委員会の設置者は、次に掲げる要件を満たしていなければならない。

① 審査に関する事務を的確に行う能力があること。

② 倫理審査委員会を継続的に運営する能力があること。

③ 倫理審査委員会を中立的かつ公正に運営する能力があること。

二 倫理審査委員会の設置者の責務

1 倫理審査委員会の設置者は、当該倫理審査委員会の組織及び運営に関する規程を定め、当該規程により、倫理審査委員会の委員及びその事務に従事する者に業務を行わせなければならない。

2 倫理審査委員会の設置者は、当該倫理審査委員会が審査を行った遺伝子治療等臨床研究に関する審査資料を当該遺伝子治療等臨床研究の終了について報告された日から10年を経過した日まで適切に保管しなければならない。

3 倫理審査委員会の設置者は、当該倫理審査委員会の運営を開始するに当たって、倫理審査委員会の構成、組織及び運営並びに公開その他遺伝子治療等臨床研究の審査に必要な手続に関する規則を定め、倫理審査委員会報告システムにおいて公表しなければならない。
 また、倫理審査委員会の設置者は、年1回以上、当該倫理審査委員会の開催状況及び審査の概要について、倫理審査委員会報告システムにおいて公表しなければならない。ただし、審査の概要のうち、被験者等及びその関係者の人権又は研究者及びその関係者の権利利益の保護のため非公開とすることが必要な内容として倫理審査委員会が判断したものについては、この限りでない。

4 倫理審査委員会の設置者は、当該倫理審査委員会の委員及びその事務に従事する者が審査及び関連する業務に関する教育・研修を受けることを確保するため必要な措置を講じなければならない。

5 倫理審査委員会の設置者は、当該倫理審査委員会の組織及び運営がこの指針に適合していることについて、厚生労働大臣又はその委託を受けた者が実施する調査に協力しなければならない。

第二十一
 倫理審査委員会の役割・責務等

一 役割・責務

1 倫理審査委員会は、研究機関の長から遺伝子治療等臨床研究の実施の適否等について意見を求められたときは、この指針に基づき、倫理的観点及び科学的観点から、研究機関及び研究者の利益相反に関する情報も含めて中立的かつ公正に審査を行い、文書により意見を述べなければならない。

2 倫理審査委員会は、審査が公正に行われるようその活動の自由及び独立が保障されていなければならない。

3 倫理審査委員会は、1の規定により審査を行った遺伝子治療等臨床研究について、倫理的観点及び科学的観点から必要な調査を行い、研究機関の長に対して、研究計画書の変更、当該遺伝子治療等臨床研究の中止その他当該遺伝子治療等臨床研究に関し必要な意見を述べることができる。

4 倫理審査委員会は、1の規定により審査を行った遺伝子治療等臨床研究について、当該遺伝子治療等臨床研究の実施の適正性及び研究結果の信頼性を確保するために必要な調査を行い、研究機関の長に対して、研究計画書の変更、当該遺伝子治療等臨床研究の中止その他当該遺伝子治療等臨床研究に関し必要な意見を述べることができる。

5 倫理審査委員会の委員及びその事務に従事する者は、その業務上知り得た情報を正当な理由なく漏らしてはならない。その業務に従事しなくなった後も同様とする。

6 倫理審査委員会の委員及びその事務に従事する者は、1の規定により審査を行った遺伝子治療等臨床研究に関連する情報の漏えい等、被験者等の人権を尊重する観点並びに当該遺伝子治療等臨床研究の実施上の観点及び審査の中立性又は公正性の観点から重大な懸念が生じた場合には、速やかに倫理審査委員会の設置者に報告しなければならない。

7 倫理審査委員会の委員及びその事務に従事する者は、審査及び関連する業務に先立ち、倫理的観点及び科学的観点からの審査等に必要な知識を習得するための教育・研修を受けなければならない。また、その後も、適宜継続して教育・研修を受けなければならない。

二 構成及び会議の成立要件等

1 倫理審査委員会の構成は、研究計画書の審査等の業務を適切に実施できるよう、次に掲げる要件の全てを満たさなければならず、①から③までに掲げる者については、それぞれ他を同時に兼ねることはできない。また、会議の成立についても同様の要件とする。

① 分子生物学、細胞生物学、遺伝学、臨床薬理学、病理学等の専門家及び遺伝子治療等臨床研究の対象となる疾患に係る臨床医が含まれていること。

② 法律に関する専門家及び生命倫理に関する意見を述べるにふさわしい識見を有する者を含めて構成されるものであること。

③ 被験者の観点も含めて一般の立場から意見を述べることのできる者が含まれていること。

④ 倫理審査委員会の設置者の所属機関に所属しない者が複数含まれていること。

⑤ 男女両性で構成されていること。

⑥ 5名以上であること。

2 審査の対象となる遺伝子治療等臨床研究の実施に携わる研究者は、倫理審査委員会の審議及び意見の決定に同席してはならない。ただし、当該倫理審査委員会の求めに応じて、その会議に出席し、当該遺伝子治療等臨床研究に関する説明を行うことはできる。

3 審査を依頼した研究機関の長は、倫理審査委員会の審議及び意見の決定に参加してはならない。ただし、倫理審査委員会における当該審査の内容を把握するために必要な場合には、当該倫理審査委員会の同意を得た上で、その会議に同席することができる。

4 倫理審査委員会は、審査の対象、内容等に応じて有識者に意見を求めることができる。

5 倫理審査委員会は、特別な配慮を必要とする者を被験者とする研究計画書の審査を行い、意見を述べる際は、必要に応じてこれらの者について識見を有する者に意見を求めなければならない。

6 倫理審査委員会の意見は、全会一致をもって決定するよう努めなければならない。

三 迅速審査
 倫理審査委員会は、次に掲げるいずれかに該当する審査について、当該倫理審査委員会が指名する委員による審査(以下「迅速審査」という。)を行い、意見を述べることができる。迅速審査の結果は倫理審査委員会の意見として取り扱うものとし、当該審査結果は全ての委員に報告されなければならない。

① 他の研究機関と共同して実施される遺伝子治療等臨床研究であって、既に当該遺伝子治療等臨床研究の全体について共同研究機関において倫理審査委員会の審査を受け、その実施について適当である旨の意見を得ている場合の審査

② 研究計画書の軽微な変更に関する審査

四 他の研究機関が実施する研究に関する審査

1 研究機関の長が、自らの研究機関以外に設置された倫理審査委員会に審査を依頼する場合には、当該倫理審査委員会は、遺伝子治療等臨床研究の実施体制について十分把握した上で審査を行い、意見を述べなければならない。

2 倫理審査委員会は、他の研究機関が実施する遺伝子治療等臨床研究について審査を行った後、継続して当該研究機関の長から当該遺伝子治療等臨床研究に関する審査を依頼された場合には、審査を行い、意見を述べなければならない。

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第五章 インフォームド・コンセント等

第二十二
 インフォームド・コンセントを受ける手続等

一 インフォームド・コンセントを受ける手続等
 研究責任者等が遺伝子治療等臨床研究を実施しようとするときは、研究機関の長の許可を受けた研究計画書に定めるところにより、あらかじめ、三の規定による説明事項を記載した文書により、インフォームド・コンセントを受けなければならない。

二 研究計画書の変更
 研究責任者等は、研究計画書を変更して遺伝子治療等臨床研究を実施しようとする場合には、変更箇所について、原則として改めて一の規定によるインフォームド・コンセントの手続等を行わなければならない。ただし、倫理審査委員会の意見を受けて研究機関の長が、改めて一の規定によるインフォームド・コンセントの手続等を要しないことについて許可した変更箇所については、この限りでない。

三 説明事項
 インフォームド・コンセントを受ける際に被験者等に対し説明すべき事項は、原則として以下のとおりとする。ただし、倫理審査委員会及び厚生労働大臣の意見を受けて研究機関の長が許可した事項については、この限りでない。

① 遺伝子治療等臨床研究の名称及び当該遺伝子治療等臨床研究の実施について研究機関の長の許可を受けている旨

② 研究機関の名称及び研究責任者の氏名(他の研究機関と共同して遺伝子治療等臨床研究を実施する場合には、共同研究機関の名称及び共同研究機関の研究責任者の氏名並びに総括責任者の氏名を含む。)

③ 遺伝子治療等臨床研究の目的及び意義

④ 遺伝子治療等臨床研究の方法(被験者から取得された試料・情報の利用目的を含む。)及び期間

⑤ 被験者として選定された理由

⑥ 被験者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益

⑦ 遺伝子治療等臨床研究が実施又は継続されることに同意した場合であっても随時これを撤回できる旨(被験者等からの撤回の内容に従った措置を講じることが困難となる場合があるときは、その旨及びその理由。)

⑧ 遺伝子治療等臨床研究が実施又は継続されることに同意しないこと又は同意を撤回することによって被験者等が不利益な取扱いを受けない旨

⑨ 遺伝子治療等臨床研究に関する情報公開の方法

⑩ 被験者等の求めに応じて、他の被験者等の個人情報等の保護及び当該遺伝子治療等臨床研究の独創性の確保に支障がない範囲内で研究計画書及び遺伝子治療等臨床研究の方法に関する資料を入手又は閲覧できる旨並びにその入手又は閲覧の方法

⑪ 個人情報等の取扱い(匿名化をする場合にはその方法を含む。)

⑫ 試料・情報の保管及び廃棄の方法

⑬ 研究の資金源等、研究機関の遺伝子治療等臨床研究に係る利益相反及び個人の収益等、研究者の遺伝子治療等臨床研究に係る利益相反に関する状況

⑭ 被験者等及びその関係者からの相談等への対応

⑮ 被験者等に経済的負担又は謝礼がある場合には、その旨及びその内容

⑯ 他の治療方法等に関する事項

⑰ 被験者への遺伝子治療等臨床研究の実施後における医療の提供に関する対応

⑱ 遺伝子治療等臨床研究の実施に伴い、被験者の健康、子孫に受け継がれ得る遺伝的特徴等に関する重要な知見が得られる可能性がある場合には、被験者に係る研究結果(偶発的所見を含む。)の取扱い

⑲ 遺伝子治療等臨床研究によって生じた健康被害に対する補償の有無及び内容

⑳ 被験者から取得された試料・情報について、被験者等からの同意を受ける時点では特定されない将来の研究のために用いられる可能性又は他の研究機関に提供する可能性がある場合には、その旨と同意を受ける時点において想定される内容

((21)) 被験者の秘密が保全されることを前提として、モニタリングに従事する者及び監査に従事する者、倫理審査委員会並びに厚生労働大臣が、必要な範囲内において当該被験者に関する試料・情報を閲覧する旨

四 同意を受ける時点で特定されなかった研究への試料・情報の利用の手続
 研究責任者等は、被験者等から同意を受ける時点で想定される試料・情報の利用目的等について可能な限り説明した場合であって、その後、利用目的等が新たに特定されたときは、研究計画書を作成又は変更した上で、新たに特定された利用目的等についての情報を被験者等に通知し、又は公開し、研究が実施されることについて、被験者等が同意を撤回できる機会を保障しなければならない。

五 同意の撤回等
 研究責任者等は、被験者等から次に掲げるいずれかに該当する同意の撤回又は拒否があった場合には、遅滞なく、当該撤回又は拒否の内容に従った措置を講じるとともに、その旨を当該被験者等に説明しなければならない。ただし、当該措置を講じることが困難な場合であって、当該措置を講じないことについて倫理審査委員会の意見を聴いた上で研究機関の長が許可したときは、この限りでない。なお、その場合、当該撤回又は拒否の内容に従った措置を講じない旨及びその理由について、研究責任者等が被験者等に説明し、理解を得るよう努めなければならない。

① 遺伝子治療等臨床研究が実施又は継続されることに関して与えた同意の全部又は一部の撤回

② 代諾者が同意を与えた遺伝子治療等臨床研究について、被験者からのインフォームド・コンセントの手続における、当該遺伝子治療等臨床研究が実施又は継続されることの全部又は一部に対する拒否

第二十三
 代諾者からのインフォームド・コンセントを受ける場合の手続等

一 代諾の要件等

1 研究責任者等が、第二十二の規定による手続において代諾者からインフォームド・コンセントを受ける場合には、次に掲げる要件がいずれも満たされていなければならない。

(1) 研究計画書に次に掲げる事項が記載されていること。

① 代諾者の選定方針

② 代諾者への説明事項(③に関する説明を含む。)

③ (2)①又は②に該当する者を被験者とすることが必要な理由

(2) 被験者が次に掲げるいずれかに該当していること。

① 未成年者であること。

② 成年であって、インフォームド・コンセントを与える能力を欠くと客観的に判断される者であること。

2 研究責任者等が、第二十二の規定による手続において代諾者からインフォームド・コンセントを受ける場合には、1(1)①の選定方針に従って代諾者を選定し、当該代諾者に対して、第二十二の三の規定によるほか1(1)②の説明事項を説明しなければならない。

3 研究責任者等が、代諾者からインフォームド・コンセントを受けた場合であって、被験者が中学校等の課程を修了している又は16歳以上の未成年者であり、かつ、遺伝子治療等臨床研究を実施されることに関する十分な判断能力を有すると判断されるときには、当該被験者からもインフォームド・コンセントを受けなければならない。

二 インフォームド・アセントを得る場合の手続等

1 研究責任者等が、代諾者からインフォームド・コンセントを受けた場合であって、被験者が遺伝子治療等臨床研究を実施されることについて自らの意向を表することができると判断されるときには、インフォームド・アセントを得るよう努めなければならない。ただし、一の3の規定により被験者からインフォームド・コンセントを受けるときは、この限りでない。

2 研究責任者は、1の規定によるインフォームド・アセントの手続を行うことが予測される遺伝子治療等臨床研究を実施しようとする場合には、あらかじめ被験者への説明事項及び説明方法を研究計画書に記載しなければならない。

3 研究責任者等は、1の規定によるインフォームド・アセントの手続において、被験者が、遺伝子治療等臨床研究が実施又は継続されることの全部又は一部に対する拒否の意向を表した場合には、その意向を尊重するよう努めなければならない。ただし、当該遺伝子治療等臨床研究を実施又は継続することにより被験者に直接の健康上の利益が期待され、かつ、代諾者がそれに同意するときは、この限りでない。

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第六章 厚生労働大臣の意見等

第二十四
 厚生労働大臣の意見

一 厚生労働大臣は、研究機関の長の求めに応じ、あらかじめ遺伝子治療等臨床研究の実施又は当該遺伝子治療等臨床研究の重大な変更に関し意見を述べるものとする。

二 研究機関の長は、第十六の三の1の規定に基づき厚生労働大臣に対し意見を求めるに当たって、次の書類を提出しなければならない。

① 研究計画書及び当該研究計画書に添付する資料

② 倫理審査委員会における審査の過程及び結果を示す書類

③ 第二十の二の3に定める規則

三 厚生労働大臣は、二の規定に基づき意見を求められた場合において、複数の有識者の意見を踏まえ、当該遺伝子治療等臨床研究が次に掲げる事項のいずれかに該当すると判断するときは、当該遺伝子治療等臨床研究の医療上の有用性及び倫理性について厚生科学審議会の意見を聴くものとする。

① 組換え遺伝子であって、当該遺伝子を細胞内に導入する際に用いられる新規のもの又は新規の遺伝子投与方法を用いていること。

② 新規の疾病を対象としていること。

③ 新規の遺伝子治療等の方法を用いていること(①又は②に該当するものを除く。)。

④ その他個別の審査を必要とするような事項を含んでいること。

四 厚生労働大臣は、三の規定による厚生科学審議会からの意見の聴取が必要ないと判断する場合には、意見を求められた日から30日以内に、当該遺伝子治療等臨床研究の実施に関し意見を述べるものとする。

第二十五
 重篤な有害事象等に係る厚生労働大臣の意見
 厚生労働大臣は、第十六の四の3及び第三十の四の3の規定に基づき研究機関の長から報告を受けた場合には、必要に応じ、遺伝子治療等臨床研究に関して意見を述べるものとする。

第二十六
 厚生労働大臣の調査等
 厚生労働大臣は、第二十四の一又は第二十五の規定に基づき意見を述べるときその他必要があると認めるときは、研究機関の長に対し第二十四の二に定める書類以外の資料の提出を求めるとともに、当該研究機関の長の承諾を得て当該研究機関の調査その他必要な調査を行うものとする。

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第七章 個人情報等

第二十七
 個人情報等に係る基本的責務

一 個人情報等の保護

1 研究者及び研究機関の長は、個人情報の取扱いに関して、この指針の規定のほか、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第58号)、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第59号)及び地方公共団体において制定される条例等を遵守しなければならない。

2 研究者及び研究機関の長は、死者の尊厳及び遺族等の感情に鑑み、死者について特定の個人を識別することができる情報に関しても、生存する個人に関するものと同様に、二及び第二十八の規定により適切に取り扱い、必要かつ適切な措置を講じなければならず、また、第二十九の規定に準じて適切に対応し、必要な措置を講じるよう努めなければならない。

二 適正な取得等

1 研究者は、遺伝子治療等臨床研究の実施に当たって、偽りその他不正の手段により個人情報等を取得してはならない。

2 研究者は、原則としてあらかじめ被験者等から同意を受けている範囲を超えて、遺伝子治療等臨床研究の実施に伴って取得された個人情報等を取り扱ってはならない。

第二十八
 安全管理

一 適正な取扱い

1 研究者は、遺伝子治療等臨床研究の実施に伴って取得された個人情報等であって当該研究者の所属する研究機関が保有しているもの(委託して保管する場合を含む。以下「保有する個人情報等」という。)について、漏えい、滅失又はき損の防止その他の安全管理のため、適切に取り扱わなければならない。

2 研究責任者は、遺伝子治療等臨床研究の実施に際して、保有する個人情報等が適切に取り扱われるよう、研究機関の長と協力しつつ、当該情報を取り扱う他の研究者に対して、必要な指導・管理を行わなければならない。

二 安全管理のための体制整備、監督等

1 研究機関の長は、保有する個人情報等の漏えい、滅失又はき損の防止その他保有する個人情報等の安全管理のため、必要かつ適切な措置を講じなければならない。

2 研究機関の長は、当該研究機関において遺伝子治療等臨床研究の実施に携わる研究者に保有する個人情報等を取り扱わせようとする場合には、その安全管理に必要な体制及び規程を整備するとともに、研究者に対して、保有する個人情報等の安全管理が図られるよう必要かつ適切な監督を行わなければならない。

第二十九
 保有する個人情報の開示等

一 保有する個人情報に関する事項の公表等

1 研究機関の長は、被験者等に係る個人情報に関し、第二十二の規定により、被験者等に説明し、又は個人情報の取扱いを含む遺伝子治療等臨床研究の実施についての情報を被験者等に通知し、若しくは公開している場合を除き、遺伝子治療等臨床研究の実施に伴って取得された個人情報であって当該研究機関が保有しているもの(委託して保管する場合を含む。以下「保有する個人情報」という。)に関し、次に掲げる事項について、当該個人情報によって識別される特定の個人(以下「本人」という。)又はその代理人が容易に知り得る状態(本人又はその代理人(以下「本人等」という。)の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む。以下同じ。)に置かなければならない。

① 研究機関の名称及び研究機関の長の氏名

② 保有する個人情報の利用目的について、遺伝子治療等臨床研究に用いられる情報にあっては遺伝子治療等臨床研究に用いられる旨(他の研究機関へ提供される場合には、その旨を含む。)、遺伝子治療等臨床研究に用いられる情報でないものにあってはその用途

③ 2又は二の1、3、4若しくは6の規定による求め(以下「開示等の求め」という。)に応じる手続(二の2の規定により手数料の額を定めた場合には、その手数料の額を含む。)

④ 保有する個人情報の取扱いに関する相談等の窓口

2 研究機関の長は、本人等から、保有する個人情報のうちその本人を識別することができるものについて、その利用目的の通知を求められた場合には、その求めをした本人等(以下「請求者」という。)に対し、遅滞なく、これを通知しなければならない。

3 1の②及び2の規定は、次に掲げるいずれかに該当する場合には適用しない。

① 利用目的を容易に知り得る状態に置くこと又は請求者に対して通知することにより、被験者等又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合

② 利用目的を容易に知り得る状態に置くこと又は請求者に対して通知することにより、当該研究機関の権利又は正当な利益を害するおそれがある場合

4 研究機関の長は、2の規定による利用目的の通知について、3の規定により通知しない旨の決定をした場合には、請求者に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。また、請求者に対し、その理由を説明し、理解を得るよう努めなければならない。

二 開示等の求めへの対応

1 研究機関の長は、本人等から、保有する個人情報のうちその本人を識別することができるものについて、開示(保有する個人情報にその本人が識別されるものが存在しない場合に、その旨を通知することを含む。以下同じ。)を求められた場合には、請求者に対し、遅滞なく、該当する個人情報を開示しなければならない。ただし、開示することにより次に掲げるいずれかに該当する場合には、その全部又は一部を開示しないことができる。また、法令の規定により、保有する個人情報の開示について定めがある場合には、当該法令の規定によるものとする。

① 被験者等又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合

② 研究機関の研究業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合

③ 法令に違反することとなる場合

2 研究機関の長は、一の2の規定による利用目的の通知又は1の規定による開示を求められたときは、その措置の実施に関し、手数料を徴収することができる。ただし、その場合には、実費を勘案して合理的と認められる範囲内において、その手数料の額を定めなければならない。

3 研究機関の長は、本人等から、保有する個人情報のうちその本人を識別することができるものについて、その内容が事実でないという理由によって、当該内容の訂正、追加又は削除(以下「訂正等」という。)を求められた場合には、当該内容の訂正等に関して法令の規定により特別の手続が定められている場合を除き、利用目的の達成に必要な範囲内において、遅滞なく必要な調査を行い、その結果に基づき、当該内容の訂正等を行わなければならない。

4 研究機関の長は、本人等から、保有する個人情報のうちその本人を識別することができるものについて、第二十七の二の1の規定に反して取得されたものであるという理由又は同2の規定に反して取り扱われているという理由によって、該当する個人情報の利用の停止又は消去(以下「利用停止等」という。)を求められた場合であって、その求めが適正と認められるときは、当該規定に反していることを是正するために必要な限度で、遅滞なく、当該個人情報の利用停止等を行わなければならない。ただし、当該個人情報の利用停止等を行うことが困難な場合であって、当該本人の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとるときは、この限りでない。

5 研究機関の長は、1の規定により求められた措置の全部若しくは一部について当該措置をとらない旨の決定をした場合又は3若しくは4の規定により求められた措置の全部若しくは一部について当該措置をとった場合若しくは当該措置をとらない旨の決定をした場合には、請求者に対し、遅滞なく、その旨(訂正等を行った場合には、その内容を含む。)を通知しなければならない。また、1、3又は4の規定により、本人等から求められた措置の全部又は一部について、当該措置をとらない旨を通知する場合又は当該措置と異なる措置をとる旨を通知する場合には、請求者に対し、その理由を説明し、理解を得るよう努めなければならない。

6 研究機関の長は、本人等から、匿名化されていない試料・情報であってその本人を識別することができるものが第二十二の規定に反して他の研究機関(共同研究機関を含む。以下同じ。)に提供されているという理由によって、当該試料・情報の他の研究機関への提供の停止を求められた場合であって、その求めが適正と認められるときは、遅滞なく、当該試料・情報の他の研究機関への提供を停止しなければならない。ただし、当該試料・情報の他の研究機関への提供を停止することが困難な場合であって、当該本人の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとるときは、この限りでない。

7 研究機関の長は、6の規定により提供の停止を求められた匿名化されていない試料・情報の全部又は一部について、他の研究機関への提供を停止した場合又は他の研究機関への提供を停止しない旨の決定をした場合には、請求者に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。また、他の研究機関への提供を停止しない旨を通知する場合又は他の研究機関への提供の停止と異なる措置をとる旨を通知する場合には、請求者に対し、その理由を説明し、理解を得るよう努めなければならない。

8 研究機関の長は、開示等の求めに応じる手続として、次に掲げる事項を定めることができる。なお、その場合には本人等に過重な負担を課するものとならないよう、その負担の軽減に努めなければならない。また、本人等が当該手続によらずに開示等の求めを行ったときは、請求者に対し、開示等の求めに応じることが困難である旨を通知することができる。

① 開示等の求めの申出先

② 開示等の求めに際して提出すべき書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。)の様式その他の開示等の求めの方式

③ 開示等の求めをする者が本人等であることの確認の方法

④ 2の規定により手数料を定めた場合には、その徴収方法

9 研究機関の長は、本人等から開示等の求めがあった場合において、請求者に対し、その対象となる保有する個人情報を特定するに足りる事項の提示を求めることができる。なお、本人等が容易かつ的確に開示等の求めを行うことができるよう、当該個人情報の特定に資する情報の提供その他本人等の利便を考慮するとともに、本人等に過重な負担を課するものとならないよう配慮しなければならない。

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第八章 重篤な有害事象への対応

第三十
 重篤な有害事象への対応

一 研究者の対応
 研究者は、遺伝子治療等臨床研究の実施において重篤な有害事象の発生を知った場合には、四の1の規定による手順書等に従い、被験者等への説明等、必要な措置を講じるとともに、速やかに研究責任者に報告しなければならない。

二 研究責任者の対応
 研究責任者は、遺伝子治療等臨床研究の実施において重篤な有害事象の発生を知った場合には、速やかに、その旨を研究機関の長及び総括責任者に報告するとともに、四の1の規定による手順書等に従い、適切な対応を図らなければならない。また、速やかに当該遺伝子治療等臨床研究の実施に携わる研究者に対して、当該有害事象の発生に係る情報を共有しなければならない。

三 総括責任者の対応
 総括責任者は、二の規定により報告を受けた場合は、自らが所属する研究機関の長及び全ての研究責任者に対し、速やかに、その旨を報告しなければならない。

四 研究機関の長の対応

1 研究機関の長は、遺伝子治療等臨床研究を実施しようとする場合には、あらかじめ、重篤な有害事象が発生した際に研究者が実施すべき事項に関する手順書を作成し、当該手順書に従って適正かつ円滑に対応が行われるよう必要な措置を講じなければならない。

2 研究機関の長は、二の規定により研究責任者から重篤な有害事象の発生について報告がなされた場合には、手順書に従って速やかに必要な対応を行うとともに、当該有害事象について倫理審査委員会の意見を聴き、必要な措置を講じなければならない。なお、研究機関の長は、倫理審査委員会の意見を聴く前に、必要に応じ、研究責任者に対し、遺伝子治療等臨床研究の中止又は暫定的な措置を講ずるよう、指示することができる。

3 研究機関の長は、重篤な有害事象について、速やかに厚生労働大臣に報告しなければならない。

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第九章 研究の信頼性確保

第三十一
 利益相反の管理

一 研究者は、遺伝子治療等臨床研究を実施するときは、個人の収益等、当該遺伝子治療等臨床研究に係る利益相反に関する状況について、その状況を研究責任者に報告し、透明性を確保するよう適切に対応しなければならない。

二 研究責任者は、遺伝子治療等臨床研究を実施するときは、当該遺伝子治療等臨床研究に係る利益相反に関する状況を把握し、研究計画書に記載しなければならない。

三 研究者は、二の規定により研究計画書に記載された利益相反に関する状況を、第二十二に規定するインフォームド・コンセントを受ける手続において被験者等に説明しなければならない。

第三十二
 研究に係る試料及び情報等の保管

一 研究者は、遺伝子治療等臨床研究に用いられる情報及び当該情報に係る資料(以下「情報等」という。)を正確なものにしなければならない。

二 研究責任者は、被験者等から取得された試料及び情報等を保管するときは、三の規定による手順書に基づき、研究計画書にその方法を記載するとともに、研究者が情報等を正確なものにするよう指導・管理し、被験者等から取得された試料及び情報等の漏えい、混交、盗難、紛失等が起こらないよう必要な管理を行わなければならない。

三 研究機関の長は、被験者等から取得された試料及び情報等の保管に関する手順書を作成し、当該手順書に従って、当該研究機関が実施する遺伝子治療等臨床研究に係る被験者等から取得された試料及び情報等が適切に保管されるよう必要な監督を行わなければならない。

四 研究責任者は、三の規定による手順書に従って、二の規定による管理の状況について研究機関の長へ報告しなければならない。

五 研究責任者は、被験者が将来新たに病原体に感染した場合等に、その原因が遺伝子治療等臨床研究に起因するかどうかを明らかにするため、最終産物を一定期間保管するとともに、当該被験者に最終産物を投与する前後の血清等の試料及び情報等について、総括報告書を研究機関の長及び総括責任者に提出した日から少なくとも10年以上の必要とされる期間保存するものとする。また、研究機関の長は、当該期間、最終産物等が適切に保管されるよう必要な監督を行わなければならない。また、連結可能匿名化された情報について、当該研究機関が対応表を保管する場合には、対応表の保管についても同様とする。

六 研究機関の長は、被験者等から取得された試料及び情報等を廃棄する場合には、匿名化されるよう必要な監督を行わなければならない。

第三十三
 モニタリング及び監査

一 研究責任者は、遺伝子治療等臨床研究の信頼性の確保に努めなければならず、研究機関の長の許可を受けた研究計画書に定めるところにより、モニタリング及び必要に応じて監査を実施しなければならない。

二 研究責任者は、研究機関の長の許可を受けた研究計画書に定めるところにより適切にモニタリング及び監査が行われるよう、モニタリングに従事する者及び監査に従事する者に対して必要な指導・管理を行わなければならない。

三 研究責任者は、監査の対象となる遺伝子治療等臨床研究の実施に携わる者及びそのモニタリングに従事する者に、監査を行わせてはならない。

四 モニタリングに従事する者は、当該モニタリングの結果を研究責任者に報告しなければならない。また、監査に従事する者は、当該監査の結果を研究責任者及び研究機関の長に報告しなければならない。

五 モニタリングに従事する者及び監査に従事する者は、その業務上知り得た情報を正当な理由なく漏らしてはならない。その業務に従事しなくなった後も同様とする。

六 研究機関の長は、一の規定によるモニタリング及び監査の実施に協力するとともに、当該実施に必要な措置を講じなければならない。

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第十章 雑則

第三十四
 啓発普及
研究者は、あらゆる機会を利用して遺伝子治療等臨床研究に関し、情報の提供等啓発普及に努めるものとする。

第三十五
 施行期日
この指針は、平成二十七年十月一日から施行する。

第三十六
 経過措置
 この指針の施行前に廃止前の遺伝子治療臨床研究に関する指針(平成16年文部科学省・厚生労働省告示第2号)等の規定によってした手続その他の行為であって、この指針に相当の規定があるものは、この指針の相当の規定によってしたものとみなす。

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